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通勤手当は、従業員に対する重要な賃金の一つです。しかし、その支払いに関しては、しばしばミスが発生することがあります。これらのミスは、企業と従業員の双方にとって手間や不満、不信感を引き起こしやすいため、給与計算担当者には正確な処理が求められます。
本記事では、通勤手当のミスが発生する主な原因と、それらを修正するための具体的な方法について解説します。
通勤手当のミスの多くは、適切な情報が提供されていない、または情報が正確でない場合に発生します。以下は、通勤手当の支払いにおいてよく見られる問題点です。
通勤手当を支給する際に、申請された定期券の金額やルート、期日が誤っていると、正しい額が支払われない可能性があります。例えば、従業員が申告したルートと実際の通勤ルートが異なる場合、過剰支給や不足支給が発生することがあります。通勤経路検索機能を持ったSaaSもありますので、利用を検討することも必要でしょう。
また、定期券の購入時期(つまり経路変更の時期)が勤怠管理の締め日支払日と異なることで、月の途中で金額が変わることもあるため、注意が必要です。
通勤手当(定期券)の支払いサイクルが従業員ごとに異なる場合、混乱が生じることがあります。例えば、1,4,7,10月支給のグループ他、2,5,8,11月グループ、3,6,9,12月グループと分かれる場合にはそれぞれ管理が必要です。
自家用車などによる通勤手当の課税額の算定には、通勤距離の情報が必要です。しかし、従業員が片道と往復距離を誤って距離を申告したり、経路が正確に反映されていない場合、誤った処理がなされる可能性があります。これにより、距離に応じた適切な非課税額での処理が誤ることがありますので注意が必要です。
通勤手当の申請や支払いのタイミングが合わない場合、ミスが生じることがあります。例えば、従業員が定期券を購入した後に申請を行うが、その申請のタイミングが遅れると、翌月の給与に正しい額が反映されないことがあります。
従業員が月の途中で入社または退職した場合、日割り計算で通勤手当を支給する必要があります。しかし、日割りルールが適切に適用されていないと、誤った額が支払われる可能性があります。給与規定等で明確に定められていないと給与計算時の確認も滞ってしまいます。
定期券の値上げや従業員の引越しによる通勤距離の変動も、通勤手当のミスを引き起こす要因となります。これらの変更が即座に反映されない場合、誤った手当が支給されることになります。特に定期券の値上げなどの変更は、会社からのアナウンスをした方がスムーズです。
最近ではリモートワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド勤務」の企業さんも増えてきていますね。出社の際にのみ通勤手当を支払う、という契約の場合は、出社回数についての申告誤りや集計誤りが発生し得ます。ミスが少なく計算できるように業務プロセスを定めておきましょう。
通勤手当のミスが発生した場合、その修正にはいくつかの方法があります。以下では、具体的な修正方法について説明します。
最もシンプルな修正方法は、誤った額を現金で即時に支給または徴収することです。これは、金額が少額である場合や、すぐに修正が必要な場合に有効です。従業員に対して、速やかに不足分を支給することで、不満を最小限に抑えることができます。
賃金台帳を遡って修正することは難しいと思うので、例えば不足の金額が10,000円あった場合には、翌月の給与の支給項目にて、遡及通勤手当 10,000円、控除項目の仮払金などで10,000円 と処理をするのが一般的です。遡及通勤手当の項目については、課税と非課税を気をつけて設定しましょう。
大きなミスが発生した場合、次月以降の給与で調整を行うことも一つの方法です。この方法は、誤りが大きくない場合や、現金処理が難しい場合に適しています。
例えば、過剰支給があった場合は、翌月以降の給与から差し引くことで調整できます。
通勤手当には、課税・非課税の区分があります。ミスが発生した場合、この区分を正しく修正することが重要です。例えば、非課税範囲を超えた額が支給された場合、超過分を課税対象として処理しなければなりません。
この点を誤ると、従業員の税負担が不適切になる可能性があります。
発生してしまった通勤手当の誤りについて、マスタデータを修正するのも忘れないようにしましょう。
通勤手当の支給に関するデータは、通勤マスタに基づいて管理されています。ミスが発生した場合、通勤マスタを速やかに修正し、今後の誤りを防ぐことが重要です。特に、定期券のルート変更や、従業員の住所変更があった場合には、迅速にマスタを更新する必要があります。
具体的には、
・支払い金額
・支払いサイクル
・支払い単位(1日ごと、3ヶ月定期など)
・片道の距離
・交通手段
をもれなく確認して正しいものに修正して、再発防止に努めましょう。
通勤手当の支給に関するルールを明確にし、それを記録することも大切です。特に、日割り計算や課税・非課税の区分については、発生頻度は低くても、公平かつ透明なルールで運用することが重要です。賃金規定などに、見返した際や他の労務スタッフが見てもわかるようにルールを確定させて、明文化しておきましょう。
最後に、退職時や休職時における通勤手当の取り扱いについても触れておきます。これらのケースでは、最終出勤日や休職開始日に基づいて、適切に通勤手当を清算することが求められます。
退職時には、最終出勤日までの通勤手当を正確に計算し、過不足がないように清算する必要があります。また、退職者が既に支給された手当を返金する場合があるため、その手続きも速やかに行うことが求められます。また、最後の期間を有給休暇の消化に充てる場合の通勤手当の取り扱いについても、定めておきましょう。
休職に入る従業員については、休職期間中の通勤手当を支給しないように設定する必要があります。復職時には、通勤ルートや金額に変更がないかを確認し、必要に応じてマスタを修正します。
また、締め日とは異なるタイミングでの休職(もしくは復帰)の場合にも日割計算のルールを明確にしておきましょう。
通勤手当のミスは、従業員の満足度や企業の信頼性に影響を与える可能性があります。正確な情報の収集と管理、そして迅速な対応が不可欠です。通勤手当の支給に関するルールを明確にし、定期的に見直すことで、ミスを最小限に抑えることができます。
人事担当者として、これらのポイントを押さえておくことで、通勤手当の支給に関する問題を未然に防ぎ、従業員との信頼関係を築くことができるでしょう。