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給与所得者は、毎月の給与から自己負担分の社会保険料が控除され、会社によって事業主負担分とまとめて年金事務所に納付されています。
一人ひとりの社会保険料がどのように決まっているかというと、「算定」と「月額変更」によって決められています。
正式名称はそれぞれ、「定時決定」と「随時改定」ですが、以下では一般的になじみのある「算定」と「月額変更」という言葉を用います。
算定とは、毎年4月から6月までの給与額をもとに「標準報酬月額」を算出し、それに基づいて毎月納める社会保険料が決定される手続きのことです。
▼参考動画
一方月額変更とは、昇給や降給によって固定的賃金に変動があったとき、標準報酬月額の算出・社会保険料の変更を算定を待たずに行わなければならない手続きをいいます。
▼参考動画
算定は従業員全員分の給与をチェックするため手続きが漏れてしまうことはあまり考えられませんが、月額変更は「固定的賃金の変動があるかないか」「月額変更の要件に当てはまるかどうか」を確認しなければならないため、手続きや給与への反映を忘れてしまうことがあります。
月額変更にまつわるミスは、大きく3つのパターンに分けられます。
それぞれのミスに対して、どのように対処したらよいでしょうか。
固定的賃金の変動があって月額変更の要件に該当しているのに気がつかず、届出を忘れてしまうことがあります。
固定的賃金とは、毎月決まった金額や単価で支給する給与のことを指します。例えば、基本給、家族手当、住宅手当、役職手当、通勤手当などです。
月額変更の届出においては、固定的賃金が変わった人をリストアップしておき、変更のあった月から3〜4ヶ月後に月額変更の要件に該当するかどうかを確認しなければなりません。
一斉の昇給・降級であれば分かりやすいですが、「引っ越し・定期的な在宅勤務により通勤手当の金額が変わった」「時給制のパートから月給制の正社員に転換した」といったイレギュラーなタイミングには届出を忘れてしまうこともあるでしょう。
月額変更の届出を忘れていたことに気がついたときの対処の流れは、以下の通りです。
(1)速やかに月額変更届を年金事務所に提出する
(2)従業員本人に事情を説明して同意のもと精算方法を決める
(3)新しい社会保険料額を給与に反映させる
月額変更の届出を失念していたことに気がついたら、まずは速やかに届出書を年金事務所に提出してください。
届出が遅れてしまったからといって年金事務所から咎められることは基本的にはありませんのであまり心配せず、早急に手続きしてしまいましょう。
必要な月額変更の届出をしていないときには、給与にも反映されていない可能性が高いです。
誤って控除していた社会保険料額と正しい社会保険料額との差額を精算しなければなりません。
社会保険料を取りすぎていて従業員に返金する場合はあまり問題にはなりませんが、本来は社会保険料が上がっており必要額に満たないときには従業員から追加分を支払ってもらう必要があります。
正しい額の社会保険料であれば毎月の給与から控除することが法的に認められています。しかしながら、足りなかった分の社会保険料を一方的に給与から控除することはできません。
そのため、従業員に事情を説明して、本人の同意のもとで精算方法を決め、書面に残しておくことが必須です。
精算方法としては、翌月の給与で精算する方法や分割で精算する方法、賞与で精算する方法などがあります。
従業員に事情を説明して同意のもと精算方法を決めたら、翌月以降の給与に新しい社会保険料額と精算内容を反映させましょう。
一括や分割で精算する金額は給与システムに手打ちで入力することになりますので、ここでは間違えないよう十分お気をつけください。
月額変更のよくあるミスの2つ目は、手続き内容を間違えることです。
例えば「固定的賃金ではない賃金の変動だったのに勘違いした」「臨時的に支払われたものなど報酬に含まれないものを含めて計算してしまった」「金額の入力を間違えた」といった理由でミスをする可能性があります。
月額変更の手続き内容を間違えたときの対処の流れは、上記「届出を忘れたとき」とほとんど同じです。
(1)速やかに月額変更の訂正届を年金事務所に提出する
(2)従業員本人に事情を説明して同意のもと精算方法を決める
(3)正しい社会保険料額を給与に反映させる
手続き内容の間違いに気がついたら、訂正届を年金事務所に提出しましょう。
ただし、まだ手続きが進んでいなければ取り下げができるかもしれませんので、まずは年金事務所に連絡してみてください。
手続きが進んでしまっている、手続きが完了してしまっている場合には、訂正届を提出します。
残念ながら訂正届は電子申請には対応していませんので、紙の届出書を郵送することが必要です。
月額変更の手続き内容が間違っていれば、給与から控除する金額も間違っている可能性が高いでしょう。
従業員から追加で支払ってもらわなければならないときでも勝手に給与から控除することはできません。
話し合いによって精算方法を決め、同意した内容を書面に残しておくことをおすすめします。
一括や分割など、社会保険料の精算方法を決めたら、正しい金額を給与に反映させましょう。
入力した金額が正しいかどうかをしっかりとご確認ください。
届出自体は問題なく完了していたものの、手続き内容を給与に反映させるのを忘れてしまうことがあります。
つまり、手続き前の社会保険料の金額のままで控除されてしまっているということです。
「届出を忘れたとき」「手続き内容を間違えたとき」と同様、従前の金額と正しい金額との差額を精算しなければなりません。
そのため、対処の流れは以下の通りとなります。
(1)従業員本人に事情を説明して同意のもと精算方法を決める
(2)正しい社会保険料額を給与に反映させる
月額変更により社会保険料が上がったときには特に、従業員から追加で社会保険料を支払ってもらわなければなりません。
本来給与から控除されるべきものだったとしても、一度手に入ったお金を返すのは気が進まないものです。
しっかりと事情を説明して、給与から一括・分割して控除するのか、賞与から控除するのかなどを決めましょう。
決定した精算方法は書面に残し、従業員から同意をもらっておいてください。
精算方法を決めたら、翌月以降の給与に正しい社会保険料額を反映させます。
標準報酬月額の等級の選択や、精算額の入力を間違えないよう十分注意しましょう。
いくら「ミスしないよう気をつけよう」「次は同じミスをしないようにしよう」と思っていても、忙しいときや疲れているときには繰り返してしまうものです。
月額変更にまつわる手続きや給与計算のミスを防ぐには、ツールをうまく活用することをおすすめします。
給与計算の一連の流れをチェックリストに落とし込み、担当者が忘れてもタイミングがきたらツールが教えてくれるような仕組みを作っておきます。
タスクやチェックリストの管理にはさまざまなツールがあり、その一つが「Bizer team(バイザーチーム)」です。