BLOG
ブログ
BLOG
ブログ
本記事では、TECO Design代表の杉野による「今日から業務に活かせる考え方のコツ」をご紹介します。文中の例は、士業事務所の方を想定しているものですが、企業の方にも共通する内容をご紹介しています。
ぜひ、ご一読ください!
TECO Designでは、企業・士業事務所への人事労務クラウドの導入支援(設定代行)、業務設計を提供しています。
皆様それぞれ課題をお持ちですが、ある一定のところを超えると、スキルや人事労務クラウドの知見よりも、「コミュニケーション」のほうが、課題解決の要因として占める割合が高くなってくるように思います。
(おそらく、どの仕事でも同じところに収斂するようにも思いますが)
それに、一人で完結させられる仕事なんていうものはほとんどありませんから、他者とのコミュニケーション=仕事、と言い換えても過言ではないとも思います。
TECO Desognを立ち上げる前、長い間、士業事務所にいたのですが、スタッフに対してコミュニケーション関連の研修を行う事務所はほとんど無かったように思います。
所長やがほぼ一人でコミュニケーションを担っていたり、得意なスタッフは顧問先とよくコミュニケーションを取って高い満足度を得ていたりしました。一方で、専門知識はあるもののコミュニケーション面で損をしていたスタッフも、少なからず存在していました。
また、これは単なる傾向ではありますが、事務能力に長けた方がコミュニケーションで押し切られてしまう、という場面も多く見てきました。社内外でのやりとりにおいて、ほんの少しだけコミュニケーションが苦手だというだけで、「話が通じない」と烙印を押されたり、怒られるようなケースもありました。
また、お若い方で業務経験が少ない場合などでは、特段意識をしないであろう日常生活において、解像度、濃度の低いコミュニケーションになってしまいがちです。
コミュニケーションは生来のものというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。再現性があり、強化できる「スキル」です。
コミュニケーションスキルに磨きをかけ、元々持っている事務能力や専門知識と掛け合わせることによって、よりご自身の強みを発揮できることと思います。
では、このコミュニケーションスキルはどういった部分で差が生じるのでしょうか。
個人の強みをより活かすという観点、そして「組織全体を強化するためのコミュニケーションスキル」という観点で、下記3つのポイントにまとめました。
顧客に質問をして答えを引き出したり、社内で質問したりする際、漫然と聞くのではなく、「質問の解像度」について意識することをお勧めします。
例えば、顧問先からいただいたデータの異変に気がついた場合を想定してみましょう。
ステップ1 異変に気がつく
「あれ、数字が合わないな」→「数字が合わないです」と質問する
ステップ2 異変を客観的指標で表せる
「あれ、数字が●●円合わないな」→「数字が●円合わないですが、心当たりはありますか?」と質問する
「できません」「わかりません」といった問いはもはや質問として論外ですが、割増賃金の計算や、変形労働時間制の集計の話になると思考停止してしまっているのが、パターン1の状態です。
通常であれば〇円、本来の計算であれば〇円という想定数字をもったうえで、それらとどれぐらい乖離があるのかというところまで詰めた上で問いかけないと、質問を受ける側も答えようが無いと思いますが、このような思考をを当たり前に行えるかどうかがまず最初の関門です。
ステップ3 そこで使うべき公式が頭に浮かぶ
「割増基礎÷所定労働時間×割増率×時間数だ!」
ステップ4 公式から仮説が導き出せる
「ステップ3を使って逆算したら…家族手当などを入れて割増計算してるかもしれない!」
ステップ3・4は一定の基礎知識があってこそできることですが、それよりも前提として「仮説思考」が定着していることが重要です。そもそも、仕事においては、テストのように必ずしも100%の正解が用意されているわけでもなく、誰かが教えてくれるわけではありませんので、「違うかもしれないけど、確率が高そうなものに当たりをつける」ことができると良いでしょう。
まず答えとして仮説を出し、それを検証する、という知能労働です。仮説が違った場合には、また1から構築しないといけません。ただ、これを怖がったり、面倒くさがったりする癖がつくと、単純作業しかできなくなってしまいます。
ステップ5 前提を疑って、新しい仮説を導き出せる
「待てよ・・・そもそも割増基礎が違ったり、法律通りに計算されているわけではないかもしれないな。実は短時間勤務だけど、他のフルタイム従業員と同じ計算方法になっているかもしれない。」
ステップ6 仮説も経て、提案を含めて落としこむことができる
「もしや、全員同じ所定労働時間で割ってませんか?短時間正社員は日数や時間数に応じて変えないとだめですから、今回のクラウド化を機に、改善する方向でいきませんか?!」
第3の壁を超えるところまできたら、コンサルティング的な要素が含まれるコミュニケーションになります。
「自分で決める」だとか、「相手を巻き込んでいく」ということです。
上記では、質問の仕方についてご紹介しましたが、今度は顧客(顧問先)に何かしら回答したり案内する際のコミュニケーションについてお伝えします。
ポイントは、こちらの3つです。
・知識を教えるティーチングではなく、目標達成まで導くコーチングのイメージ
・「もれなく教える」ではなく「相手の自走」にフォーカスする
・「こちらの話したい(話した方がいいと思い込んでいる)内容」を話すのではなく相手の引っかかっている箇所を「解決する」スタンス。
こちらの内容を踏まえ、より具体的な内容をお示ししましょう。
説明に力を入れても、顧客は「勉強したい」のではなく、「課題を解決したい」のですからニーズには答えられていないということになります。
また、全ての情報を話してしまうと、不要なものまで入ってしまい、重要なポイントを見失ってしまうことがあります。相手にとって、いま必要な情報を伝えるようにしましょう。
せっかく調べたのだから、と全部話したくなることもありますが、相手のためにならないこともありますので、調べた10の中から3,4を選んで案内するくらいが良いように思います。
相手の方がある程度の知識を持っている場合、説明せずとも自己解決される場合があります。結果としては問題ありませんが、意図して引き寄せた結果ではないので、再現性がありません。
自己解決のための助け舟を出すイメージでコミュニケーションをとって、意図した結果を引き出し、再現性のある体験を積みましょう。
相手を「YES」に誘導してしまうようなコミュニケーションを取ってしまったことは、ありませんか?
これは、自分の説明に自信がないときにやってしまいがちなことですが、顧客もその場ではなんとなくYESと言うものの、いざ自分でやろうとしたときに「あ、やっぱり分からないや」となってしまうことが多いです。
説明後、質問があまりにも多い場合には、そもそも説明時に「YES」に誘導していなかったかを振り返ってみましょう。
これは、相手のペースではなく、自分のペースで進めてしまった場合に起きがちなことです。
とにかく何でもかんでも伝えてしまって、相手の頭の中から余白スペースがなくなってしまうと、質問すら出てこない膠着状態になってしまうでしょう。
もしくは、「理解が曖昧な状態で質問したら失礼かもしれない。我慢しよう。」と不要な遠慮をされてしまう可能性もあります。
質問が無い=うまくいっている、ではありません。
相手の頭がスッキリして、これならできそう、やってみます、と言えるような状態をゴールに設定してコミュニケーションをとりましょう。
やり方を教えるのではなく、今後似たような事態になったとしても自ら前に進める状態にすることがベストです。
教える(ティーチング)のではなく、できる姿をイメージしていただく・目標達成を描く手助けをする(コーチング)ことを心がけましょう。
・分かるけどやってない
・分からないからできない
・分からないけどやった
・分かるからやった
・・・「ダメだな」と思う順番に、列挙しました。
ミスや未実行の原因においては、「無知」と「無能」がありますが、多くの場合はプライドが邪魔していると思います。
「無知」は、知らないと思われたくない、知らないから失敗したくない、できないと思われたくないなどですね。こんなプライドはどうでも良いことですので、早く忘れて失敗、学んだ方がいいです。もしくは、考えを誰かに相談した上で、すぐ実行すべきですね。
「無能」は、やったのにうまくできない、自分には向いてない、あの人みたいにできない、といった類のものです。
これについては、問題が「無知」から前進したからこそ「無能」の悩みが起きるわけですから、その時点で好転していることを認識しましょう。悩むところではありません。
また、実行がうまくいかないことへの悩みですが、
何回やったことなのか?
初めてでは?
あなたの比べてる相手は、どれくらい積み上げてきているか?
と自問自答してみてください。ほとんどの場合、自分の実力の過信があると思います。
つまり、プロ野球選手にもホームランが打てないと悩む人がいる中で、あなたが打てますか?ということです。あなたが比べているその人は、その仕事で食べてるわけですから、その道のプロです。自分の能力を過信せず、正しく認識しましょう。
知らないことにチャレンジする障害になるのは、あなたの能力ではありません。
プライドと過信だと思います。
このときももちろん①の「質問の仕方」ように、「どうしたらいいですか?」ではなく、「こう思うんだけどどうだろうか?」と自分で自分に質問してみましょう