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コーチングのその先へ〜5年後、人件費がどれだけ利益を圧迫するか。 数字を使って、社長と一緒に未来を語る〜

コーチングのその先へ〜5年後、人件費がどれだけ利益を圧迫するか。 数字を使って、社長と一緒に未来を語る〜

これまで私は、数えきれないほどのコーチングを経験してきました。
相手は企業の社長、管理職、ときには兄弟や恋人まで。
劇的に変わっていく人もいれば、残念ながらそうでない人もいました。

コーチングを学び始めた頃、そのコミュニケーション手法は私にとって「衝撃」以外の何物でもありませんでした。
その後、社労士としての業務に取り入れ、気づけばコーチングは私の仕事に欠かせない武器になっていました。

今日は、コーチングがいかに人の人生を変えるか——その力を、私自身の経験談からお伝えしたいと思います。

10年前の私は、正直、ひどい状態でした。
仕事をしていても、どこかが空っぽ。「つまらない」という感覚がいつも胸の奥にこびりついていました。
人には言えませんでしたが、「社労士を辞めたい」とさえ思っていました。

そんなとき、知人に誘われ、あるセミナーを受講しました。
費用は決して安くありませんでしたが、藁をも掴む思いで参加したのを覚えています。

講師は上場企業からも引く手あまたの、本物のコンサルタントでした。
講義の途中、その方が突然、私に話しかけてきました。

「あなたは社労士になるために生まれてきたのではありません。人は皆、目的を持って生まれてきています。あなたは——何のために、今の仕事を選んだのですか?」

頭が、白くなりました。

社労士になって約10年。
毎日仕事をして、実績も積んできた。
それなのに、その問いに、私は一言も答えられなかったのです。

代々士業の家に生まれた私にとって、士業になることは「選択」ではなく「当たり前」でした。
疑問を持つ隙すら、なかった。

沈黙が続きました。数分だったか、それ以上だったか。私はようやく口を開きました。

「親が……喜ぶから、だと思います」

自分の人生の目的を、ずっと親に委ねていた。
その事実に、32歳にして初めて気づいた瞬間でした。

その日から私は、「自分がなりたい社労士になろう」と決意しました。誰かに言われたわけでもない。自分の内側から、初めて湧き出てきた言葉でした。

対話の時間は、わずか5分。しかしその5分が、私の人生を丸ごと塗り替えました。

これこそが、コーチングの威力です。

コーチングを語るとき、必ず引き合いに出されるのが「ティーチング」との比較です。

ティーチングは、知識を持つ人が持たない人へと教える一方通行のコミュニケーション。一方、コーチングは双方向のコミュニケーションであることが最大の特徴です。
私はコーチングをこう定義しています。

「コーチングとは、適切な問いによって相手に気づきを与え、行動を促すもの」
この定義には下記三つの要件が含まれています。

  • ①適切な問い
  • ②気づき
  • ③行動。

この三つが揃って、初めてコーチングと呼べます。相手が自らの内側に答えを見つけ、実際に動き出す——そこまでを導くのが、コーチングの真髄なのです。

しかし、気づきを得た後が大変です。

目標は見つかった。
でも、何を、どんな順番で、どんな段階を経てゴールへたどり着けばいいのか、まったく分からない。

コーチングを経験したことがある方なら、こんな場面に心当たりがあるかもしれません。個人面談で気づきも答えも出て、「よし、やろう」という手応えもあった。ところがその後、日常業務に追われるうちに、結局何も変わっていなかった——。

行動計画が具体化されていないとき、人はこうなります。
そこで必要になるのが、コーチングとティーチングの組み合わせです。

あるサラリーマンがコーチングを経て、「起業しよう」と決意したとします。
しかし決意した瞬間、新たな問いが押し寄せてきます。

  • ・起業するための手続きは何か。
  • ・借り入れの方法は。
  • ・マーケティングはどうするか。
  • ・いくら貯金が必要か。
  • ・損益分岐点はどこか。
  • ・どうすれば人を雇えるのか。

このとき、もう一度コーチングをしても意味がありません。

知識も経験もない人に、いくら問いを重ねても答えは出てこない。こういう場面で力を発揮するのが、経験者や専門家によるティーチングです。

ゴールが見えているだけでは、人は動けません。

家族がいれば、借金があればあるほど人は保守的になります。私はこれまで、決意しながらも一歩目が踏み出せずにいる方を、何人も見てきました。

しかし——地図が見えた瞬間、人は一気に前へ進み始める。 コーチングで方向を定め、ティーチングで道を照らす。この組み合わせこそが、人を本当の意味で動かす力になるのです。

もう一つ強くお勧めしたいのが、社内のデータの活用です。
社長が管理職にコーチングを行い、管理職がやる気に満ちあふれた。しかしその後、思いのままにプロジェクトを進めた結果——利益が減っていた。最悪の場合、「コーチングのせいだ」という話になりかねません。

企業において利益の追求は絶対であり、コーチングは必ず利益と生産性とセットで考える必要があります。

私が社長にコーチングをする際、必ず経営数字を一緒に見ながら壁打ち相手になります。問いかけながら、数字を確認しながら、一緒に未来を描いていく。

  • ・将来、どうなっていたいのか。
  • ・何にわくわくするのか。
  • ・手順は間違っていないか。
  • ・残業は増えないか。
  • ・利益は残るか。
  • ・生産性は上がるか。
  • ・一時的に利益が下がるなら、いつ黒字転換するのか。
  • ・そのとき、人件費はどうなっているのか。

5年後、人件費がどれだけ利益を圧迫するか。 数字を使って、社長と一緒に未来を語るのです。

そのために私は、SrWith(社労士とともに、という意味) という労務・勤怠システムを開発しました。

法律を守るためでも、給与計算をラクにするためでもありません。
労務データと経営数字は企業にとって非常に重要な財産であるにもかかわらず、多くの企業がそれを活かしきれていない現実を見てきたからです。データを経営判断に直結させ、社長と一緒に未来を描けるツールが欲しい——その一心で作り上げたシステムです。

少し身近な話に置き換えてみましょう。

「子どもに留学させたい、夢を見せてあげたい。」そう思ったとき、次に何をしますか?

きっと、通帳を開きますよね。今の家計を考えるのではないでしょうか。また、「どのくらいの金額をいつまでに貯金をすれば子供を留学させられるのか」を考え始めると思います。
企業もまったく同じです。夢を描いたなら、次は資金繰りを見る。
コーチングで方向を定めたなら、次はデータで現実を確かめる。

企業がビジョンを描くとき、必ず関わってくる数字があります。

  • ・売上
  • ・粗利
  • ・粗利率
  • ・人件費
  • ・労働分配率
  • ・人時生産性
  • ・経費、利益

子どもに留学させたいと思ったとき、まず通帳を開くように——夢を描いたなら、次はデータで現実を確かめる。
これで現在地と理想のギャップを理解でき、そして道筋を作れます。

企業内のコーチングで最も大切なのは、実はその先にある「利益との結びつき」なのです。

そしてこの取り組みの先に、私には一つのビジョンがあります。

「昨日よりも今日、今日よりも明日の方がいい会社を、5万社つくる」

もちろん、私一人では到底たどり着けない道のりです。だからこそ、志を同じくする仲間とともに、この事業を進めています。
あの日たった5分のコーチングが、今では私の夢となり、多くの人を巻き込む事業へと育っていきました。

コーチングは、本当に素晴らしい技術です。しかしそれは、あくまでも手段です。過信せず、目的を明確にしたうえで使いこなせたとき、初めてその真価を発揮します。

最後に、あなたへ問いかけさせてください。

今、あなたの現状はどうですか? あなたが理想とする状態は、どんな姿ですか?誰を幸せにしますか?

ぜひ一度、立ち止まって考えてみてください。
その問いの中に、きっと答えがあります。

執筆プロフィール

塚本 祥太郎(つかもと しょうたろう)
特定社会保険労務士・SrWith㈱代表取締役・キャッシュフローコーチ

昭和58年9月23日生/佐賀県唐津市出身

200社以上の企業を支援し、組織全体で12名(社労士2名、行政書士2名含む)とともに地域企業の労務課題をサポート。コーチングとコンサルを主としたビジネススタイルで、社労士として次世代の企業サポートを行っている。
コミュニティFMのラジオパーソナリティとしても活動し、「塚本祥太郎のライフコネクト」「ワンダフォー」に出演。
勤怠管理と経営支援を融合させたプラットフォームシステム「SrWith」を開発。
就業規則・労働条件通知・勤怠管理を一元化し、決算書情報と組み合わせることで、企業の法令遵守と生産性向上を同時に実現することを目指す。
社労士が「書類作成者」から「経営に寄り添うパートナー」へと進化できる仕組みとして注目を集めている。

社会保険労務士法人 塚本事務所

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