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「今さら聞けないけどこれってどうなの?」
「難しいケースに当たってしまったけど、どうしたらいいかわからない」
そんな労務担当者さまのお悩み・ご質問に答えていくコーナー「ROMEの休日」。
労務に関わることならなんでもOK。労務の専門家が、みなさんのお悩みにお答えいたします。
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IT企業で人事を担当しています。
新入社員Aさんは、試用期間中のシステム開発業務に従事しており、1つの業務に対して明確な期限と目標が設定されていました。しかし、Aさんは初月から業務の進捗が他の従業員と比べ著しく遅れており、上司からの指摘や指導を複数回受けたものの、改善が見られませんでした。
具体的には、通常2日で完了するタスクに1週間以上を要し、再三のフィードバックにもかかわらず、品質も基準に達していませんでした。 上司は、Aさんに対して業務の進行状況や問題点を話し合うフィードバック面談を2度行い、その場で「具体的な改善策」(タスク管理のスキル向上や優先順位の見直し)を提案しました。また、Aさんに対して合理的な改善期間(2週間)を設定し、再度進捗を確認しましたが、大きな改善は見られませんでした。
試用期間中なので解雇は可能だと思いますが、専門家の意見を聞きたいです。
試用期間中であっても、解雇を行うためには次の要件を満たす必要があります。
上記の事例では、Aさんに対して具体的な改善要求を行い、期限を設けた上で再度の確認が行われています。解雇を正当化するためには、このように改善のための明確な指導や機会を提供し、それでもなお改善が見られなかったという記録が重要です。
Aさんが他の従業員に比べて著しく業務進行が遅れていたこと、その遅れが会社の業務運営に悪影響を及ぼしていることを示す客観的なデータ(進捗報告、指導記録、業務成果物の評価)があることが望ましいです。例えば、通常2日で完了するタスクに1週間以上かかっている場合、その遅れがビジネスに大きな影響を及ぼすことが記録されていれば、業務不適合として解雇が正当化されやすくなります。
解雇に際しては、労働基準法に基づく合理的な手続きが必須です。試用期間中の解雇についても、雇用契約書や就業規則に基づき、会社の内規に従った手続き(解雇予告や解雇予告手当の支払い等)を行う必要があります。事例においても、Aさんに対する適切なフィードバックや合理的な改善期間の設定を行い、労働基準法に則った手続きが進められています。
解雇理由が「主観的」である場合、不当解雇と判断される可能性が高いため、客観的で合理的な証拠が不可欠です。 試用期間中の解雇も「不当解雇」に該当することがありますので、解雇を決定する際には、社会保険労務士に相談するなど、慎重に進めることが重要です。
法律に基づいた解雇予告手続き(30日前の解雇予告または解雇予告手当の支払い)が必要です。