【イベントレポート】スペシャルトーク「これからの労務を語るweek Day5」
これまでお送りしてきた労務weekも、今回が最終回です。
今回、杉野と伊藤が語るテーマは「社会労務士法人TECO Consultingをどのようなチームにしたいか」「どんな方に来ていただきたいか」
ぜひご一読ください!
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登壇者紹介
株式会社TECO Design
代表取締役社長 杉野 愼
中四国大手の社会保険労務士事務所に入社。給与計算部門のリーダー、IT推進室室長。社内のマニュアル整備、IT推進などに注力。
またグループ内でコンサルティング会社を設立し、顧客データベースの移行作業や、クラウド労務ソフト等の導入、また業務フローの見直しなどを含めたバックオフィスの業務設計を中心に実施、800社以上の給与・労務・勤怠ソフトの移行作業を実施。
社会保険労務士法人TECO Consulting
代表社員 伊藤 将人
埼玉県入間市出身。大学卒業後、社会保険労務士を取得。東京都内の社会保険労務士事務所で、約3年間HRテックを活用したバックオフィスDX化のコンサルティング経験を積む。その後、上場準備中(N-2)のベンチャー企業に参画し、上場審査に向けた労務管理体制の構築を行なう。ベンチャー企業を中心に、バックオフィスDX化をメインとした人事労務コンサルタントとして独立後、TECO Consultingの代表社員に。
伊藤:これまで、色々とお話してきましたけれど、まだ「どんな方とTECO Consultingというチームを作っていきたいのか」ということはまだでしたね。
杉野:確かに、社会課題や目標については話してきたけれど、どなたかというのはね。
伊藤:とはいっても、今ぱっと浮かんだテーマなので、すぐにこれというのは難しいのですが。
社労士法人なので一定の労務の経験は必要だと思うんですが、とはいえ一番求めないといけないのは、TECO Consultingが目指す世界観を理解して共感してくださるのかというところ。
それから、立ち上げ時期なので、自走できるかとか自主的に考えられるかとか、胆力とか…ということも必要なのかなと。
杉野:最初のメンバーということで、出たとこ勝負に対応できる人間力は必要ですよね。
伊藤:TECO Design はある程度人数も増えてきているわけですが、どのような考えで組織を作っていったんですか?
杉野:初期メンバーが胆力の塊だったので…会社が始まってしばらくは僕よりもTECO Designっぽい考え方や動きをしてくれていました。
色んな場面で、僕から「TECO Designが目指すことはこれ」と話してはいたんですが、メンバーの動きを見てそうだった、こういう事が必要だよねと。もう任せたほうが良いかなって思ったんですよね。
伊藤:皆さん、TECO Designメンバーとしてのポリシーをしっかり持たれているんですね。
杉野:そうですね、後から入った方への発信もやってくれています。この前も誰かに言われたんですが、「分かりません」「これ教えて下さい」というSlackの投稿に、すごい数のレスがつくんですよね。
名指しでの投稿でもないのに、各自が持っている知識や調べたことを教えてくれているのですが、これは初期から続いていることですね。本当にありがたい。
伊藤:入ってこられた方は、まず文化を理解して、そこに馴染もうということもされてたんでしょうかね。
杉野:もともと、ルールを作るのは好きじゃないんですよ。文化的なところでふわっとさせたいんですけど、組織づくりの転換点で大きかったのは、メンバーが「TECO Design の掟10箇条」を作ってくれたことですね。
「そうだね、これだね」と僕もすごいハッとして。面談に来てくださった方に「10箇条のどこが好きですか?」とお伺いしているのですが、志望動機欄に「掟を観て、この点に共感して」と書いてくださる方もいらっしゃるんですよ。
自分たちのことを分かってもらうために、外に出すものとして本当に優れているなと思いますね。
伊藤:TECO Consultingもある程度TECO Designを真似したいと思っているんですが、掟の中でもコアなものってありますか?
杉野:うーん、難しいですが、応募いただいた方が好き・共感した・ハッとしたと言ってくださるのは「隠しマニュアル禁止」が多いかな。自分のためだけに作る隠しマニュアルって、確かに良くないよねと。
伊藤:この掟って、何かきっかけがあってできたんですか?
杉野:色々とルールが出てきたよね、ということで作ってもらったんですけども。人が増えてくると明確にしないといけない部分も増えてくるので、アップデートしていかないといけないですね。
伊藤:なるほど。先ほどの「隠しマニュアル禁止」って、属人化しやすい労務業務においてはすごく大事だと思っていて、例えば同じ社会保険労務士事務所なのに、知識の偏りが発生することって結構あるじゃないですか。
杉野:あるあるだね。勿体ないな、と思うんですよね。良いやり方してるんだったら、それをシェアしたほうが絶対良いじゃないですか。僕の得意なこととして、他の方の良いなと思ったところをアレンジして取り入れるということがあるんですけれども。
組織学習というか、他の人のやり方から学ぶとか良いところを取り入れるとかっていうことはやっていきたいと思っていて、そのために「隠しマニュアル禁止」にしているんです。
組織の人数が多くなってくると「マニュアルほどじゃないけど良いものを持っているひと」も出てくるんですが、TECO Designにはそれを発掘してくれる人もいるんですよね。「〇〇さんの良いところシェア会」みたいなものをやってくれて、学びと共有の場を設けてくれている。
伊藤:自分の中で考えている知識の共有方法があるんですが、それこそあるデザイン会社のやり方を真似しようかなと。
お客様から得た質問や課題があがったときに、本来であれば一担当者がヒアリングして解決策を考え、回答するというのが一般的ですよね。一つの課題に対して、全体で考えて、振り返りも全体で行う、というのがそのデザイン会社でのやり方だそうですが、こうすることで知識を共有しやすいなと思ったんです。
例えば、先日「社内副業」についてのお問合せいただいたんです。それを、僕がすぐ回答しないで他のメンバーにも展開したんですよね、簡単なレポートとして出してもらって、読み合わせる時間を設けました。
「そうだよね、ここが抜けてたよね」「これは大事だよね」とかって集合知としてまとめて、それでお客様と話した結果をまたシェアして…ということをすべてレジュメで残しておいてるんです。こうすれば、また同じような質問をいただいた時にかなり役に立つんじゃないかなと。
杉野:これはみんながやりたいけどやりきれてないことですね!やればやるほど効いてくるから、最初から組織をブラッシュアップできますよね。
伊藤:これからは時間の掛け方が重要になると思っていて。
これまでは一人で調べて考えて回答していたことを、チームで行うことでその分の工数はかかるので、どのようなお客様にどう時間を使うのかを考える必要がありますよね。
この工程自体に価値を感じてくださるお客様とお付き合いをしたいし、こういうことをやっていますとお伝えした上で、お取引をしていただきたい…と、今日電車の中で考えながら来ました。
TECO Consultingというバスに乗る人
杉野:最初の話に戻るけれど、そんなやり方をしていくTECO Consultingというバスに乗る人はどんな方なんだろう?
伊藤:知識を収集したり、深掘りする人があっているんじゃないかなと思います。もちろん、後続に回して丁寧な仕事ができるということにも大きな価値がありますが、それにプラスオンでそういった深堀りいただけるマインドがあると良いかなと。
杉野:知的好奇心が強いと言うか、問題解決を楽しいと思えるかって結構大事ですね。クイズやパズルを解くのが好きとか、「解けないと悔しい」と思う方は向いてるかもしれないですね。
伊藤:そうですね!その「悔しい」という思いを、声に出してほしいですね。それを周囲が見て、釣られてモチベーションが上がると言うことも期待できるなと。
杉野:以前、TECO Designの一部のメンバーで合宿をして、スローガンのようなものを話しあう場を作った時に「悔しがれ」という言葉が出てきたんですね。
「プロなんだからできなかったことに対しては悔しがろう」と。失敗したことや足りなかったことをあれこれ言うよりも、単に悔しいよねって言ったメンバーがいて。何をするにしても、こういう思いって原点ですよね。
伊藤:それってもともとの素質なんですかね?それとも、後から身につけられるのか…
杉野:どちらもあると思いますが、変わるものだと思います。最初は何をやれば良いのかわからないという不安や迷いのほうが大きくて、段々とできるようになってきて自分自身への期待値とギャップが生じたときにどう思うかかな。
伊藤:何かを始めるときって、最初は何も考えずに一定の量をこなして、気がついたら成果が上がっていって…それで、前はできたことなのにと悔しく思ったりしますよね。
杉野:あとは「この会社のこの人の課題を解決するんだ」と思ったのにできなかったとか。これって、理想の自分と本来の自分との差を認識できているかだと思うんですよね。自分自身を過信していると口だけになるし、できているのに「いやいやそんな」と言ってばかりでも良くないし。
ちょっとだけ先が見えてきていて、その差が埋まらない状態が健全なんじゃないかな?一生埋まらないと思うけど、追い求めるのが仕事だと思う。
だけど、先の姿が描けなくなってしまうひともいるんですよ。これ以上どうしようと迷ったり、周りにロールモデルがいなかったり、それが怖い。チャレンジする場というか土壌がないとつまらないと思うので、ストレッチした目標を置けると良いと思いますけれど。
伊藤:この人があと三割頑張ったら届く目標を与えて、チャレンジさせてあげる。そこで失敗して、あるべき姿とのギャップを認識できるようなシステムを持っていたいですね。
杉野:そうですね、組織の文化としてね。階層ができてくると、ある程度指示系統ができてきて、上の人たちの仕事の中には「視座を上げる」というのもあるんじゃないかな。
伊藤:いま、TECO Design の中でそういった施策はあるんですか?
杉野:一応いくつかは設けていますね、コミュニケーションの濃淡は必要だと思うんで。
伊藤:なるほど。話を戻して、どんな方にTECO Consultingに来ていただきたいかというと、組織をどう伸ばすかを一緒に考えてくださると嬉しいですね。
これから入ってくださる方って、何かしら強みをお持ちだと思うんですね。営業の経験が豊富とか、制度に詳しいとか。その中のひとつとして、組織を活性化させるとか、そのための仕組みが得意という強みをお持ちの方に、ぜひ来ていただきたいです。
杉野:仕事探しにおいて、特に専門性がないと悩んでいる方って少なくないと思うんですね。例えば、社会保険労務士の資格を持っている、営業でこういう実績がある、みたいに「分かりやすい実績や専門性を持っていないからどうしたら良いのか分からない」みたいな。これって、何でもできるということでもあるんですよね。結構すごいことで、全部80点取れるって相当なスキルだと思うし、組織になると結構大事じゃないですか。
伊藤さんがやることって色々増えてくると思うから、すごく活躍できるんじゃないかな。
伊藤:身を置く場所って大事ですよね!一気に成長できる、爆発できる環境だと思います。
杉野:ある方にTECO DesignとTECO Consulting両方のバックオフィスをやっていただいてるんですけれど、最初と比べて一ヶ月ですごい伸びたよね。一気にぐっと伸びて、何があったかな?と思い返したんだけど、「その場にいた」ということが大事だったんじゃないかな。
伊藤:最初は労働保険の年度更新もご存じなかったと思うんですが、先ほど話したときに話しすぎなくてもさっと理解していただけて。
杉野:入社当初は「これ一冊で総務が分かる」みたいな本を読んでもらって、それをそのまま役所に持っていって「これください!」なんていうこともあったんですよ。
伊藤:その方を見ていると、純粋というか、何も障壁なく吸収できるという強みがあるんだなと。ご年齢とかご経験に関わらず、素直さがあるというのも大事なのかなって思います。
杉野:スキルをマッピングしたときに、10にいて下向きよりも、今は3とか5だけど上向きな方が良いですよね。いまの時点というより、上なのか下なのかを知りたいですね。
上を向いているというのは伸びる要因だと思うし、上に向かってどうすれば良いのかを考えられるんですよね。
うちで解決できるかは別として、どうしたら良いのかとか話に来ていただきたいですよね。
伊藤:決まったQを投げて回答するような面接だと、人柄を見抜くのって難しいと思うんですけど、どうやって見抜いてるんですか?雑談ですか?
杉野:はい、まさに。あるメンバーから言われたんですけど、他の会社の面接だと全部私(本人)が回答していたと。「あなたはこれについてどう思いますか」とか「どうしてきたか」とか。
で、TECO Design の場合には、ほぼ僕が話していてびっくりしたって。そんなつもりはなかったんですけど、7〜8割は僕が話してたみたいですね。
ドライに思われるかもしれませんがマッチングの場でもあるので、こちらが目指していることをお伝えして、面接に来てくださった方にはどうなりたいのかを教えていただきたいなと思っています。
伊藤:採用とか求人になると突然イメージができなくなるんですが、営業に置き換えると…聞くべきことを事前に決めている方もいれば、雑談ベースで進める方もいると思うんですね。その得意不得意が組織の雰囲気に繋がって、それを面接でどう表現するのかというのが、杉野さんの雑談ベースの面接だったりするんですかね。
杉野:ああ、それはめんどくさいというのがあって。自分の心持ちとして。
めんどくさいというのは、「こういう自分でいないといけない」というのをいくつも作らないけないと考えると…休日の自分、仕事の自分、みたいな。ずっとフラットでいたほうが楽ですよね。
伊藤:会社って長く続けることが一つの目標だと思いますけれど、自分のキャラに無理があると難しいですよね。
面接の場でのパキッとした姿をみて入ってきた方が、入社後にギャップを感じて退職していったというのも見たことがあるので、自然体でいることは大事ですね。
杉野:あと「このひとはこう」と決めつけないほうが良いですね。さけるチーズみたいな、チーズ一本からさかれたのって、全部僕なんですよ。それぞれの集合体が僕なんで「一本で判断しないでもらっていいですか?」って。
「急にこんな風になった」とか言われても…相手もチーズだし、僕もチーズだって思うようにしてます。塊だと思うと、辛いから。
チーズをさいて、大きさが均等じゃないとかって、当たり前じゃないですか。そういうのを楽しんでほしい。多様性、多面性、D&Iなどありますけど、人に入り込みすぎないというか。人は変わるので、そういうものだと思ってやっていくとね。
伊藤:仲間に無理させることも避けられますね。
杉野:もちろん、他者への配慮は必要だと思うんですけど、仕事ってストレスフルだし忙しいじゃないですか。だから、そこ以外はどうでもいいみたいになると良いですよね。
と話していると、お時間になりました。全5回お話してもらいましたが、いかがでしたか。
伊藤:お話したいことはたくさんあるんですけれど、僕、話すことあんまり上手じゃないんだなって。
杉野:謙虚ですね!(笑)
でも、TECO Consultingも、やりたいことや実現したい世界観はあるけれども、絶対的にここだと言えるところにはたどり着けてないフェーズなんですよね。だからこそ面白いと思いますので、労務に何か思いがある方は、ぜひお声がけください。