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先日公開した前半記事では、男女の雇用の実態についてご紹介しました。
具体的には、育休・産休制度や、セクハラ・マタハラなどに代表されるハラスメントを防止する制度などについてご紹介します。
こちらの解説をご覧いただき、次の人事・労務施策のご参考にしていただければ幸いです!
【参考情報】
マタハラ、パワハラ、セクハラ・・・聞いたことがないという方は、まずいないのではないでしょうか。
職場におけるハラスメントは、従業員が能⼒を⼗分に発揮することの妨げになるだけではなく、そのひと個⼈の尊厳や⼈格を不当に傷つけられる行為で、⼈権にも関わる絶対に許されない⾏為です。企業にとっても、職場秩序の乱れや業務への支障が生じたり、せっかく採用・教育した貴重な⼈材の損失につながります。
近年では、リモハラ(リモート・ハラスメント)という言葉も出てきました。誰もが被害者、加害者になる可能性がありますので、しっかりと正しい知識と現状を知っておきましょう。
【参考情報】
「ハラスメントカオスマップ2021年度版」を公開。株式会社エージェントの運営メディア『みんなのキャリア相談室』がハラスメントについて独自調査
セクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)については、従前から防止措置が事業主に義務付けられています。性的な言動により、労働環境、仕事に悪影響が及ぼされることを防ぐための対策が取られているのかどうか、もし実際に起きた時にどのような対処をしているのかを企業にアンケートを取っています。
セクハラ防止に取り組んでいる企業の割合は82%と、前年よりも1.8ポイント上昇しています。具体的な取り組み方法で一番多いものは、「就業規則等に明確化し労働者に周知している」でした。また、実際に相談があったと回答した企業は全体の5%で、企業規模が大きいほど割合が高くなる傾向にあります。
相談実績、もしくはセクハラ事案があった企業が取った対応として最も多かったことは、「事実確認を行う」で80%超でした。相談実績が上がったとして、ただちにセクハラ事案であるとは必ずしも判断することはできません。まずは事実確認をとり、それによって対応を進めていくことが大事です。
妊娠・出産・育休などを理由とする不利益な取扱い(解雇・雇い止め・降格)を、マタニティハラスメント(以下、マタハラ)と呼びます。
マタハラ防止対策に取り組んでいる企業の割合は、76.5%でした。前年よりも0.8ポイント上昇です。
具体的な取り組み方法で一番多かったものは、前述のセクシュアルハラスメントでとられている方法と同じく、「就業規則への明確化」でした。
実際に相談があった企業は、セクハラと比較すると0.4%と少なく、対応方法は「再発防止対策を設ける」が一番多いという結果となっています。
職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラ)は、職場において⾏われるもので
① 優越的な関係を背景とした⾔動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの であり、
①から③までの3つの要素を全て満たすものを言います。
【参考情報】
職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕(厚生労働省)
パワハラ防止に取り組む企業は全体の79.5%、前年調査から比べて41.6ポイントと大きく伸びています!この劇的な変化の背景には、義務化が大きく関係しています。
2016年4月に男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正され、会社にマタハラを防止する措置をとることが義務づけられました。
パワハラは少し遅れ、2020年6月1日より「パワハラ防止法」(正式名称は、改正労働施策総合推進法)が施行されました。これによりパワーハラスメントの基準が法律で定められるとともに、具体的な防止措置を企業に義務化され、今回の調査結果に繋がっています。
5,000人以上の規模の企業では、パワハラ防止対策に100%の企業が取り組んでいます。
会社規模が大きいほど、取り組んでいる率は高くなり、取り組み内容としては「就業規則への明確化」が最多でした。
また、相談の実績が合った企業は9.5%で、対応方法はセクハラと同じく「事実確認をした」が一位でした。
【3分労務クラブ】#3 妊娠から育児までの支援制度まとめ【ヅカ先生】
出産した育休対象者に対し、実際に利用した人の割合は、女性が81.6%、男性が12.6%でした。女性の取得率は高止まりしているような印象で、前年比だとわずかに減少しています。
一方で、男性の育休取得率は大幅に伸びています。男性は前年よりも5.17ポイント上昇し、2年前からは2倍になっています。
また、復帰後の育児と仕事の両立を図る為の時短勤務などの制度がある企業は、全体の73.4%でした。最長利用可能期間をは「3歳未満まで」、具体的措置は「短時間勤務」を採用している企業が一番多いという結果でした。
育児介護休業法にある「子の看護休暇・介護休暇」について、子の看護休暇を設けている企業は62.4% 介護休暇を設けている企業は63.1%でした。
改正育児・介護休業により、2021年(令和3年)1月1日からは、育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を時間単位でも取得することができるようになり、より柔軟にに活用できる環境が整ってきました。次回調査では、制度を設ける企業はもっと増えるかもしれません。
【参考情報】
看護休暇を取得している間の給与について、法律上は規定が設けられておらず、有給・無給のどちらでも問題ありません。
実運用では、保有している有給休暇を使う従業員も多く、必ずしも看護・介護休暇取得の数字に現れないという側面も忘れてはなりません。仮に休暇が無給だとしても、「欠勤」とは完全に別扱いになりますので、設計する意義は十分にあります。
母性保護制度とは、産前産後休業・育児時間・生理休暇をいいます。こちらもおなじように有給・無給どのように設定するかは企業次第です。
産前産後休業は、出産手当金があるということもあり、産前産後休業期間中の賃金を「有給」とする事業所の割合は 24.7%にとどまっています。
育児時間中の賃金を「有給」とする事業所の割合も、ほぼ同程度で 25.3%。生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所の割合は 29.0%で他2つ比較するとやや高くなっています。
【参考情報】
一般的に、正社員とは下記のようなで従業員をさします。
①労働契約の期間の定めがない
②所定労働時間がフルタイムである
③直接雇用
これに対し「多様な正社員」とは、従来の正社員と比べ、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員のことを指します。
多様な正社員を円滑に導入・運用することで、企業と労働者双方にとってメリットのある制度です。
具体的には、短時間正社員、勤務地を限定された正社員、職種・職務を限定された正社員が含まれ、これらのうちいずれかを導入している企業は全体の28.6%でした。
【参考情報】
勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて(厚生労働省)
時短勤務は出産・育児と関係するため、女性の割合が高く、8割を超えています。他2つの制度は男性がやや割合が大きいものの、大きな開きはありませんでした。
以上、雇用均等調査の結果についてご紹介してまいりました。
社会保険労務士の試験には、労働に関する一般常識(労一)と社会保険に関する一般常識(社一)という科目がありますが、試験勉強をされている方以外でも、一般常識として把握しておきたい内容です。
こちらの調査結果については動画でも紹介しておりますので、ぜひご一読ください!