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士業Xへのアップデート〜士業事務所はデジタル新時代へ〜

本記事では、無料の勤怠管理システHRMOS勤怠提供するIEYASU株式会社が開催したウェビナーにて、
株式会社TECO Design代表 杉野が登壇しお話した内容について書き起こし形式でご紹介します。


士業事務所の方を対象に、今後向かうべき方向性や労務業務のアップデートについてお話しておりますが、
人事労務ご担当者の方にもご参考にしていただける内容もございますので、ぜひご一読ください。

 

株式会社TECO Design 代表 杉野愼プロフィール

岡山県笠岡市出身。

広島大学大学院 工学研究科 修士課程 修了。

医療系IT上場ベンチャー企業に就職。テレアポから営業トークまでを徹底的に分析して、マニュアル化。
科学的な営業を取り入れ、トップセールスを継続達成。

中四国大手の社会保険労務士事務所に入社。実際に給与計算業務などに従事し、顧問先担当企業のIPO、M&Aも経験。
同時にIT推進室室長として、社内のマニュアル整備、IT推進などに注力。
またグループ内でコンサルティング会社を設立し、顧客データベースの導入・移行作業や、クラウド勤怠、クラウド給与等の導入、
また、業務フローの見直しなどを含めたバックオフィスの業務設計を中心に実施。

これまでに、800社以上の給与・労務・勤怠サービスの導入支援業務を実現。

 

士業事務所の経営、次の一手はどうするべきか。

 

まず、士業「X」は皆様ご自身で決めていただきたいと考えています。
正直なところ、今後の士業事務所がどうあるべきか?という問に対しての正解はないとも思います。

 

従来はタイムカードを集め、労務担当の方の代わりに集計し給与計算をするようなBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の面が
強かったように思いますが、HR テックの台頭によって勤怠管理や給与計算業務が効率化され、内製化される企業も増えたように思います。

当社においても、HR テックや人事労務クラウドを使いこなせる社会保険労務士の方を探している、といったご相談をお受けすることも増えました。

このような変化の波が来ていることを考えますと、士業事務所経営の次の一手を考える時ではないかと思っております。

 

A→D→D→Aからの脱却

 

じゃあどうすれば良いのか、というと目指す方向は決まっています。そこに向かって、皆様がどのようにアプローチをするかが重要なことのように思います。

 

目指す方向とは、「A→D→D→Aからの脱却」、Aはアナログ(Analog)、Dはデジタル(Digital)です。

給与計算にしても、記帳代行にしても、やっていたことはもともと紙ベースのアナログなデータをExcelなどでデジタル化し、
そのデータをまた給与計算ソフトなどにインポートして再デジタル化、そしてアナログで出力するということに集約されます。

 

例えば、タイムカードを集計し、Excelに転記。CSVで給与計算ソフトにインポートし、計算が終わったら紙の給与明細に印刷するような作業は、
まさにA→D→D→A的です。こういった仕事は、士業事務所では当たり前に発生しました。

 

人事労務クラウドが現れたいまは、両端のAが無くなっている状態です。
そうすると、いかに「A→D、D→A」を整えるかがポイントになってきます。
具体例を挙げますと、Web明細を導入することによって、給与明細の内容はパソコンやスマートフォンで確認・保存ができるようになるので、
デジタルデータのアナログ出力(D→A)をすべてデジタル化することができ、印刷や封入などで人の手を必要としなくなります。

もう一つ例を挙げますが、HRMOS勤怠を使うことによって、
勤怠入力、管理、集計もデジタル化し、勤怠管理のアナログ作業をぐっと減らせるようになります。

 

TECO Designでは、よく「文明度を上げる」という表現をしています。

IT化しようとかデジタル化しようとお伝えしても、なかなかご納得いただけない経営者の方もいらっしゃるのですが、
「文明度を上げましょう」とお伝えすると、ああ確かにねとおっしゃっていただける場合がよくあります。

 

税理士5年、社労士20年

 

「税理士5年、社労士20年」

 

この数字は、民間企業よりもDXが遅れている年数としてあるビジネス雑誌に書かれていたものです。
当時は僕も社会保険労務士事務所のグループ企業で働いていたので、どうなんだろうかと思いながら記事を読んでいました。

 

調べてみると、2000年に「IT革命」が新語・流行語大賞年間対象に選ばれていました。

HR テックブームが、人事・労務領域で起きている「IT革命」だとすると、確かに20年ほど遅れているようにも思えます。
僕自身の経験も踏まえ、HR テックでよく聞くトピックスをいくつかまとめてみました。

 

  • クラウド化 →ASP(1998〜1999年)

HR テック関連のツール・サービスでは、
クラウド化ー自社のサーバーにデータを置かなくてもどこからでもアクセスできるーということをアピールポイントとしているところがほとんどです。

 

  • Web明細書(給与計算) →HTML(1990年)

紙で配布していた明細書がWebで完結するようになる、というサービスが増えてきています。

 

  • NFC※認証(勤怠打刻) →NFC認証(2001年)

紙やタイムカードを使わずに、カードをかざすだけで打刻ができる機能を備える勤怠打刻サービスも同様に増えています。

※Near Field Communicationの略。近距離無線通信技術の国際標準規格で、ワンタッチで機器認証ができ、無線通信ができることが特徴。

 

  • 電子申請(社会保険) →e-gov(2001年)

入退社時などの社会保険の手続きも、電子申請で完結できるようになってきています。

 

  • 評価・タレントマネジメント(人事管理) →BI(1989年)

最近注目を集め、サービスもにわかに増えてきています。

 

実は、これらはどれも20〜30年前の技術を使っているだけ、とも言えます(上記リスト赤文字部分)。
技術としてはすでにあったものの、人事・労務領域に使われたのはここ最近ということをお伝えいただくと
顧問先の方にも安心していただけるのではないでしょうか。

 

繰り返しになりますが、すでに「A→D→D→Aからの脱却」、「文明度の向上」と方向性は出ています。
速やかに同じ階段を昇ることで、この業界や皆様の顧問先である中小企業をアップデートしていけるように思います。

 

文明度を上げる方法

 

では、どうすれば文明度を上げることができるのか。

 

言語(コミュニケーション)を獲得し、道具(クラウドサービス)を使いこなし、
集団(風土の醸成/仕組み)を組織することで顧問先をどんどん強くすることができるように思います。

 

ですが、まず自社がそうでないといけないと思っています。
士業事務所の皆様方が、コミュニケーションを活性化し、IHRMOS勤怠などのクラウドサービスを使いこなし、
また継続的に新しいことの吸収ができるようにできれば、非常に高い文明度を目指せるように思います。

 

まず「コミュニケーションツール」ですが、当然一人では成り立ちません。

初めて顧問先に導入するのは勇気のいることだと思いますので、おすすめするのはまず社内で導入することです。
例えば、チャットツール(Chatwork、Slack、Teams)、Web会議(zoom、whereby、GoogleMeet)、ストレージ(Box、Dropbox、Office365)、仕組み(Bizerteam、toasterteam)。
共通言語の獲得のために、従来の電話やリアルの会議から、これらに変更することを検討してはいかがでしょうか。

 

次に、「クラウドサービス」です。組織内の共通言語ができ、効率化ができてきた・意思疎通がクリアになったタイミングで使われることをおすすめします。

 

また、クラウドサービスはできるだけ早く導入したほうが良いものではあるのですが、
原因を追求しないまま、「とりあえず」「なんとなく」で導入することがないように気をつけましょう。

例えば給与計算ソフトを導入したら、次は評価や採用管理もどうにかしたいんだというお話をお伺いすることもありますが、
場当たり的に導入するのではなく本来の課題をクリアにすることが重要です。

 

給与計算効率化のためにクラウドを検討しているというお話をよくお伺いしますが、
中身を紐解くと勤怠の締めが間に合わないだとか、集計に時間がかかるとか、申請を紙でやっていて今どこに何があるのかわからないだとか、
そういったケースが往々にしてあります。

勤怠にばらつきがあったら給与計算が楽になることも有りませんので、
どこが大変なのか?何を実現したいのか?を詰めることが重要になってきます。

 

【TECO Designで取り扱い中のサービス一覧】※2021年5月時点

 

最後3つ目は、「風土の醸成(仕組み)」です。

一つのクラウドサービスを使えるようになっても、新しいサービスや機能はどんどん増えていきます。
また、コロナ禍のように社会も日々変化していますので、それに対応できる組織を作っていかなければいけません。

 

ご参考までに、TECO Designの取り組みを一部ご紹介します。

まず、仕組みを作るにあたって業務をすべて見える化しています。

誰がどういう仕事を、どういう順番で、どこの設定をいつまでにするか・・・と業務の型を決めています。

必ずしもこの型が全てに当てはまるわけではありませんので、場合に応じてカスタマイズをして日々アップデートしています。

また、各クラウドサービスについての習熟度や、学ぶ順番も明示し、トレーニングシートや学習用動画なども用意をしています。

進捗管理もノートではなくツールで実施し、大事なものは共有し全員が見られるような状態にし、徹底してデジタル化をしています。

 

このように、まずは自社、そして次に顧問先に影響力を広げるという順番が大事かと考えています。

 

クラウド化からの発展

 

経営者の方から、「最初に」「毎月」「直接」相談を受けるチャンスがあるというのは、士業事務所ならではの特権だと思います。
つまり、いくらでもデジタル化するチャンスがあるということです。

 

ここで、当社でお受けした事例をご紹介します。

 

ある企業より従業員の退職があり、給与計算をクラウド化したい・アウトソースしたいというご相談がありました。
詳細を伺うと、マニュアルもなく、そもそも等級制度もバラバラ。
人事コンサルティング領域に踏み込み、お付き合いをさせていただきました。

 

ある士業事務所からは、Web会議を導入したいというご相談をお受けしました。
当社で実施している内容をお伝えして、実際にお使いいただきました。
結果、移動時間の削減によって、月に一回だった相談を月二、三回にすることができ、
顧問先の方の満足度が向上したというお話もありました。

 

それから、勤怠管理システムの導入。
人手不足で勤怠管理システムを入れたいなど、需要が伸びています。
ご相談を受け、よくよく中を見てみると、実運用は変形労働時間制なのに就業規則がそうでなかったり、
協定書が取り交わされてなかったりといったこともあります。
勤怠管理システムの導入を支援しながら、規定の整備をするというコンサルティングをすることもよくあります。

 

入り口の相談はクラウド化であっても、
本来は人事・労務領域の整備が必要な場合や、発展的な効果を得られる場合が多いということで、ご紹介いたしました。

これは士業事務所の皆様だけでなく、労務ご担当者の方がシステム導入に取り掛かる場合にも言えることだと思いますので、
導入の一歩二歩先を見ることをおすすめします。

 

 

 

以上、HRMOS勤怠コラボウェビナーの、杉野の登壇内容についてご紹介しました。

IEYASU株式会社が運営するウェブメディア「打刻ファースト」でもイベントレポートを公開頂いていますので、ぜひご覧ください。

イベントレポート「士業 X」へのアップデート〜士業事務所はデジタル新時代へ〜

 

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