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先般、CLOUD STAIONでは「育児・介護休業法」の2022年4月改正内容と、勤怠管理システム「KING OF TIME」での対応方法についてのワークショップを実施しました。
本記事では、ワークショップの内容を一部ご紹介します。
このようにお考えの方は、ぜひご一読ください。
2021年3月入社。プロダクトサポートチームとして、業務設計や設定代行を担当。給与計算・勤怠管理どちらもに携わり、特にキングオブタイム、freee人事労務に精通。落ち着いた声色とわかりやすい解説が社会保険労務士受験生にも大人気のYoutubeプレイリスト「ヅカ先生の3分労務クラブ」を担当。自身も合格を目標に日々励んでいる。
2021年1月入社。カスタマーサクセス(お客様との窓口担当者)として、日々労務担当や現場のお困りごとをヒアリングし、クラウド勤怠システムではどう解決できるのかをご提案しつづけている。その他当社の導入支援業務において、ヒアリングをもとにした業務設計、仕様書作成、レクチャー・説明会の開催、マニュアル作成等を担当。鋭い観察力と、それを言語化する能力は社内でも評判。
育児・介護休業法とは、育児・介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるよう支援するための法律です。「両立支援」が大きなポイントです。
まず、現行(法改正前)についておさらいしましょう。
パパ休暇とは、出産後8週間以内に育児休業を男性が取得した場合には、2回に分割して育児休業を取得することが可能になるというものです。8週間以内に1回、その後に1回などの取得が可能です。
また、パパママ育休プラスというものもありまして、こちらは両親ともに育休を取得し、取得開始・終了時期をずらすことによって、1歳2ヶ月まで育休を取得することができます。
「パパ休暇」は、法改正によって育休に吸収されることによって廃止となります。
参考:厚生労働省 パパ休暇・パパマカ育休プラス パンフレット
法改正の内容をより深く理解いただくために、法改正の理由にもなった問題をご紹介します。
昨今、出産後の女性労働者の半数が会社を辞めているといったことが問題になっています。なぜかというと、体力・気力不足によって、家庭と仕事の両立が難しいとして退職される方が多いそうです。
では、なぜ体力・気力不足になってしまうのかというと、男性の育児・家事にかける時間が少なく、女性側に負担が偏る傾向にあることが原因とのこと。内閣府や総務省の調査によると、夫が家事・育児関連に割く時間は49〜1時間数分程度。
OECD先進国の中でも群を抜いて低く、メディアでも特にここ数年は取り上げられることが多くなってきました。
また、「第6回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概況」からは、夫の平日の家事・育児時間が長いほど、出産後の妻の「同一就業継続」の割合が高いことが読み取れます。
参考:厚生労働省「第6回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概況」
現在、男性の育休取得率は12.65%です。この数年でかなり伸びていますが、女性の取得率が80%超であることを考えると、やはり女性側に負担が偏っているのだと伺えます。
男性の育休取得率が低い理由としては、収入を減らしたくない・取得しにくい雰囲気である・仕事に穴を開けられないといった回答が多くありました。
給付金もありますので、収入への懸念点はだいぶ解消できるのではないかと思いますが、「取得しにくい雰囲気である」「仕事に穴を開けられない」に対して現行の法律ではカバーしきれていませんでした。
今回の法改正では、これらの懸念点を解消して、より男性の育休取得率を高めることが目的です。
2022年4月1日の法改正では、こちらの4つの対応が必要です。
研修の実施や方針の周知によって、理解を進めていくことによって「取得しにくい雰囲気」を多少なりとも解消できるのではないでしょうか。
また、有期雇用労働者の要件緩和もポイントです。
現行では、「引き続き雇用された期間が1年以上」「1歳6ヶ月までに契約が満了することが明らかでない」ことが育休取得の要件でしたが、改正によって「1歳6ヶ月までに契約が満了することが明らかでない」のみになります。
2022年10月1日からの改正内容は、労務担当の方にとっては重たいものかと思います。
まず、産後パパ育休というものが創設ー新たに開始します。ポイントは、こちらの4つです。
特に、「労働者が合意した場合には休業中でも就業可能に」という点については、従来の育休制度では基本的には認められていなかったことでして、大きく変わった部分ですね。
これによって、「仕事に穴を開けられない」という懸念が解消されるかと思います。
一方で、就業可能日等には上限があります。
具体的には、休業中の所定労働日・所定労働時間の半分であること、休業開始・終了予定日を就業日とする場合には当該日の「所定労働時間数未満」であることの二点です。
例えば、1日の所定労働時間が8時間・1週間の所定労働日数が5日間の場合で、休業を2週間
取得・その間の労働日数が10日あるとしましょう。一点目の所定労働日数・時間の半分とするという条件であれば、5日間・40時間までが上限になります。また、最初と最後は8時間(所定労働時間)未満である必要があるということになります。
初日と最終日は8時間未満とし、合計が上限に届かないように気をつければ、間の日で8時間労働とすることが可能なルールです。
運用にあたっては、いつ・何時間勤務するのか?などについて事前に取り決め、また実態を管理する必要がありますので、労務担当者様の業務はかなり煩雑になるかと思います。
10月1日からは、育児休業の内容も変わります。まず、こちらも分割して2回の取得が可能になります。
また、仮に1歳を過ぎて保育園に入園できなかった場合、従来は1歳から1歳半まで育休の延長手続きをし、それでまた入園できなかった場合には1歳6ヶ月以降に改めて手続きをする必要がありました。
法改正後は、1歳からは母親、1歳3ヶ月からは父親が・・・と柔軟に交代で育休を取得できるようになりました。
加えて、1歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業や産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休などの対象だった子が死亡などあった場合には、再度育児休業が可能、というルールも設けられました。
このように大幅に変更されましたので、それに伴って育児休業の流れも変わっています。下記資料の「改正後の働き方・休み方のイメージ」をぜひご確認ください。
育児休業の取得に選択肢ができることになり、それぞれの家庭ごとに合った働き方がしやすくなるのではないでしょうか。一方で、労務実務者の視点に立つと、育児休業の取得タイミングや回数が人によって変わったり、ルールを周知徹底する必要があったりと、やはりかなり煩雑になってしまうのではないかと思います。
会社からの育児休業取得の推進が期待できる、とても重要な改正内容かと思います。
以上、育児・介護休業法改正のポイントについてご紹介しました。次に、法改正に伴って実務がどう変わるかについてご紹介します。
まず、就業規則の見直しでは、法改正に伴う育児・介護休業規定の見直しや変更が必要で、更に変更した場合には労働基準監督署への届け出が必要になりますので、ぜひ4月1日までに見直しをしていただければと思います。
また、労使協定については、「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者を除外」することも可能になるため、見直しが必須になります。
助成金については確定ではありませんが、大幅に変更予定との案内がありましたので、ぜひ引き続きチェックなさってください。
続いて、育児・介護休業法改正後の実運用について、KING OF TIMEを例にとってご紹介します。
37,000社以上が導入するクラウド型勤怠管理システムです。
多様な打刻方法があり、各社に合わせた勤怠管理の運用が可能。
他、データ分析やワークフロー機能など、労務実務者・管理者の業務を効率化する機能が備わっています。
サービスサイトはこちら
KING OF TIMEでは、休暇区分(休暇・休業の全般的な設定を行う箇所)の設定を行う必要があります。休暇区分設定では、半日・時間単位、使用期限などのルールを設けることが可能です。
管理者画面>スケジュール>休暇区分設定から、すでに登録されている休暇・休業の一覧や、新規登録が可能です。KING OF TIMEには、デフォルトで有給休暇や代休が登録されていて、削除をすることもできます。デフォルト設定の中には育児休業もありますが、今回の改正による「産後パパ育休」は現時点では登録されていませんので、新たに登録する必要があります。※
※2022年2月時点
新たに登録する上では、重要なことが3つあります。
管理者用ページ>全メニュー>休暇管理>従業員一覧>詳細ページで、従業員がどのくらいどのような休暇・休業を使用したかを把握することができ、減算タイプでは付与日数・取得日数・残日数の管理が可能です。残日数管理が必要な年次有給休暇は減算タイプで設定をします。加算タイプの場合には、シンプルに取得日付と取得日数・時間のみが管理され、特別休暇の管理には加算を使うことが多くあります。
産後パパ育休は、事前に決めた日時を働く必要がある・基本的には変更ができず、予め決めた内容を厳密に管理するのであれば「減算タイプ」を選択したほうが良いでしょう。一方で、期間中は働かずにまるまる休むということであれば、既存の育児休業のように加算タイプで休む日数を把握するという方法を取ることもできます。
参考情報:KING OF TIMEヘルプページ 「休暇区分設定」とは何ですか
産後パパ育休の一番のポイントは、休業中に就業できるということで、1日単位でも時間単位でも休業することができます。
休暇設定の際には、「時間単位の取得」ができるように設定しましょう。
参考情報:KING OF TIMEヘルプページ 時間単位の休暇を取得するにはどのような設定が必要ですか?
最後3つ目のポイントは、有効期限を「編集可能」にしておくということです。
産後パパ育休は分割で取得することが可能で、1回目は3週間・2回目は2週間というように期間が異なることもあるかと思います。
それに対応するため、休暇の有効期限を編集できるようにしておくことが必要です。
参考情報:KING OF TIMEヘルプページ 休暇の有効期限を変更するにはどうすればよいですか?
次に、実際に産後パパ育休を取得する場合に準備することをお伝えします。仮に減算タイプで設定した場合ですが、事前に休業日数を管理者が付与し、従業員がその中でいつ働くのか・いつ休業を取得するのかを申請する必要があります。
また、従業員が産後パパ育休を取得するにあたっては原則2週間前までですが、就業可能日に関しては前日までに取得スケジュールを申請し承認を得るルールがありますので、ご注意ください。
仮に、KING OF TIME以外で申請・承認がされている場合には、管理者が該当の従業員の休業期間(日、時間)を記入し登録することも可能です。
参考情報:公式ブログ「KING OF TIMEで休暇管理する~設定と運用イメージ」
最後に、育休中の対応です。
まず、就業する日は通常通り打刻を行ってください。パパ産後育休では、事前の取り決め通りに働いたか・休めているかの管理が必須なので、徹底をしていただくと良いかと思います。
最後ですが、産後パパ育休は給付金の支給対象ですが、期間中の上限を超えて勤務した場合には対象外扱いになってしまいます。
きちんと管理するためにも、KING OF TIMEを正しく設定し、煩雑さを極力軽減していただければと思います。