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【第27回】国民年金保険料の免除について

社会保険労務士による労務解説記事が毎月3回(第1.2.3水曜日)にUPされます。

 

 
 

 

 

 
 

 

 

はじめに

日本に住んでいる20歳から60歳までの全ての人には、国民年金の保険料を支払う義務がありますが、本人が学生だったり、失業期間中だったり、障害基礎年金を受給していたりする場合には、保険料の支払いが猶予されたり免除される場合があります。

今回は、よくご質問を受ける

  • 学生納付特例
  • 国民年金の保険料の支払いが免除となるケース
  • 保険料を免除することのメリットとデメリット

についてお話ししたいと思います。

 

 

どんな人が国民年金に加入するの?

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方は、国民年金に加入することになっています。


これには日本国籍を持つ方だけでなく、日本に住んでいる外国人の方も含まれます。

会社員などは、加入している厚生年金保険が国民年金の費用を負担しているので、別途個人で国民年金の保険料を支払う必要はありません。学生や農林漁業者、自営業者、無職の方など(国民年金第1号被保険者)は、個人で国民年金の保険料を支払う必要があります。

参照:日本年金機構ホームページ「20歳になった皆様と世帯主の方へ 国民年金の加入と保険料のご案内」

 

 

学生納付特例

20歳になって、大学生や専門学校生だったりする場合、アルバイトなどで収入があったとしても国民年金の保険料支払いは厳しいという場合があると思います。

そのため、申請によって、在学中の保険料の納付が猶予される制度があります。

これを学生納付特例といいます。

 

この制度、すごいなあと思うところがあります。

通常、初診日が20歳以降の方は、学生であっても保険料納付要件(一定期間未納がない等)を満たしていなければ、障害年金を受給することはできません。

ですが、学生納付特例の申請をして、特例期間中に病気やケガで障害や死亡といった不測の事態が起こった場合には、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

受給できる年金額は以下の通りです。(令和6年度の金額)

 

  • 障害基礎年金1級・・・1,020,000円
  • 障害基礎年金2級および遺族基礎年金・・・816,000円

 

注意点があります。

 

1.初診日より後に学生納付特例制度を知って、慌てて納付猶予の申請をした場合、申請日前に発生した病気や事故による障害については障害基礎年金を受け取ることができなくなる場合があります。申請は遅滞なく行いましょう。

2.学生納付特例の対象期間は、申請した年度の4月分から翌年3月分までの1年間であるため、毎年申請する必要があります。前年度に学生納付特例制度を利用している場合、次の新年度が始まる前に日本年金機構よりハガキでの案内がご自宅に郵送されます。忘れずに更新しましょう。

3.学生納付特例を受けた期間があると、きちんと保険料を納めた場合に比べ将来受け取る老齢基礎年金の年金額が少なくなります。

 

3.について、老後に受け取る年金額を増やすためには、後から保険料を納める(追納)必要があります。

10年以内であれば、学生納付特例を受けた期間の保険料を遡って納めることができます。

詳しくは以下のホームページをご参考ください。

 

参照:日本年金機構ホームページ「国民年金保険料の納付が猶予される学生納付特例制度のポイント」

 

 

国民年金保険料の免除・納付猶予申請

学生でなくても、保険料の納付が厳しい場合に利用できる「免除」や「納付猶予」といった制度があります。

いずれの制度も「未納」の場合と比べ、以下のようなメリットがあります。

  • 未納の場合は遡って2年前までしか納められないところ、免除や納付猶予の期間は追納として遡って10年前の分まで納めることができます。追納すれば、将来支給される年金額が増えます。
  • 未納のままだと障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができない場合がありますが、免除や納付猶予制度を適用の場合には、受け取る条件に含まれます(注:一部免除において、減額された保険料を納付していない場合を除きます)。

照:白石市ホームページ「国民年金保険料 「納付」と「免除」と「未納」ではここが違います!」

 

 

納付猶予制度

50歳未満の方で、本人、配偶者それぞれの前年所得が一定額以下の場合に、保険料納付が猶予されます。

「猶予」なので、追納しない限り猶予期間については年金額に反映されません。

詳しくは、以下のホームページにてご確認ください。

参照:日本年金機構ホームページ「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

 

 

申請免除制度

収入の減少や失業中の方などで所得が少なかったりする場合、保険料の免除制度を申請することができます。免除された期間は、将来受け取る年金額に一定額(全額免除の場合で2分の1)が反映されます。

免除の場合、保険料を全額納めた場合と比べ、受け取る年金額の割合は以下の通りです。

  • 全額免除の場合・・・2分の1
  • 3/4免除の場合・・・8分の5
  • 半額免除の場合・・・4分の3
  • 1/4免除の場合…8分の7

参照:日本年金機構ホームページ「知っていますか?国民年金保険料の免除制度」

 

納付猶予や申請免除制度を利用するには審査があり、本人、配偶者および世帯主それぞれの前年所得が一定の金額以下であれば、申請者本人が免除を受けることができます。

失業中などで国民年金保険料の支払いが厳しい場合は、お住まいの市区町村役場にご確認ください。

 

 

法定免除制度

法定免除とは、本人が法律に定められている要件に該当するときに、本人の届出により納付されていない保険料の納付義務が免除される制度です。

法定免除制度の対象となる方は以下の条件を満たす方々です。

  • 障害基礎年金または厚生年金・共済年金の1級または2級の受給者
  • 生活保護法による生活扶助を受けている人
  • 国立ハンセン病療養所などの厚生労働大臣が指定する施設に入所している人

 

しかし、法定免除制度の要件に該当すれば何もしないで良いというわけではなく、市区町村役場への届出が必要になります。

※障害等級3級は法定免除の対象外ですが、所得の要件をクリアすれば申請免除を利用することができます。

 

所得の有無に関わらず、届出により保険料が免除されるという点が先ほどの申請免除と異なります。

法定免除が承認された期間は、申請免除のケース同様、将来の年金受給資格期間として計算してもらえます。

免除された期間中の年金保険料は、通常の保険料の半額(平成21年3月以前の期間は3分の1)を納付したものとして扱われ、将来の老齢基礎年金の受給額に反映されます。

免除された期間の保険料は、10年以内であれば追納することが可能です。追納すると、その期間の年金保険料の全額納付と同じ扱いになります。

詳しくは日本年金機構のホームページにてご確認ください。

参考:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」



免除におけるメリットとデメリット

免除におけるメリット・デメリットは以下が考えられます。

【メリット】

  • 保険料負担が軽減される
  • 老後一定の年金額に反映される
  • 受給資格期間に算入される(障害年金の審査の際に未納扱いにならない等)
  • 10年前までさかのぼって保険料の支払いができる 等

【デメリット】

  • 所定の期限内に追納しない限り、将来の年金額が減少するリスクがある
  • 一部免除の場合は、免除(減額)された保険料を納付しないと未納と同じ扱いになるので、分かりにくい 等

上記を踏まえ、どうするか検討していただければと思います。

例えば、障害年金の受給は決まったけれども、有期認定(更新が必要)だった場合、次の更新タイミングで障害年金の支給がストップしてしまう可能性もあります。

永久認定の場合は安心ですが、有期認定の場合は障害年金がストップしてしまう場合に備え、免除期間中保険料を納付しておくと良いかなと思います。

 

 

まとめ

国民年金の制度は、いざという時に収入の助けとなる重要な制度です。

人生様々ありますが、生活が困窮した場合など、その時その時のご自身の状況に合った免除制度等を活用していただければと思います。

手続きを放っておくと権利を失うことにも繋がりかねないので、「該当するかも」と思ったらまずはお住まいの市区町村役場に相談してみましょう。

 

以上

 

 

 

 

 

 

 

執筆プロフィール

まつもと社会保険労務士事務所(社労士STATIONページはこちら)

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