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CLOUD STATIONでは、定期的にウェビナー・ワークショップを実施しています。
本記事では、以前実施しました「ICT導入で保育の質&施設の運営効率をあげる!事例・ノウハウ共有セミナー〜人事労務編〜」の内容を一部ご紹介します!
株式会社ネクストビート 長谷川楓 様
キズナコネクト セールスチーム(関東エリア担当)
公立保育園で4年間働いておりました。「全国の保育園の業務改善をキズナコネクトでかなえたい」という思いから入社し、保育業界全体に子どもと関わる時間をより増やしていけたら良いなという思いで日々働いております。趣味は料理を作ることです!
保育施設の複雑な勤怠労務に特化した勤怠・労務システムです。変形労働制やあらゆる勤務体系に合わせた集計ができたり、保育士の必要配置人数を考慮したシフトの作成等が可能です。
株式会社TECO Design 杉野 愼
中四国大手の社会保険労務士事務所に入社。給与計算部門のリーダー、IT推進室室長。社内のマニュアル整備、IT推進などに注力。またグループ内でコンサルティング会社を設立し、顧客データベースの移行作業や、クラウド労務ソフト等の導入、また業務フローの見直しなどを含めたバックオフィスの業務設計を中心に実施、800件以上の給与・労務・勤怠ソフトの移行作業を実施。
「保育士不足」は今や社会問題にもなっていますが、東京都保育士実態調査報告書によると、
保育士の退職理由のTOP3は「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」でした。
つまり、保育士さんにとって「労働環境」はとても重要だということが見えてきます。
2019年に働き方改革関連法案が施行されてからは、保育業界もよりクリーンな働き方が求められています。具体的には、有給休暇の取得義務や残業時間の上限(45時間)、有給管理簿の整備などが必要で、すでに企業主導型保育施設では労務監査が始まっていますが、かなり厳しく見られています。
また、労働環境は「心理的安全性」や「定着率」にも強く関わってきます。
働き方・環境が整備されていなかったり、きちんと認知されていないと、園・法人の採用力に影響が出てしまいます。
ですので、具体的な取り組みについて、社内外の両方にしっかりと発信していくことが重要です。
では、保育士さんたちはどのような職場で働きたいと考えているのでしょうか。
ネクストビートでは、保育士さんを対象とした転職・就労支援も行っており、求職者の皆さまと直接話す機会が多くございます。
その中でよく伺うのは、「フェアな姿勢と仕組み」が浸透しているかどうかです。具体的にはシフトの早番・遅番が均等に振り分けられているのか、残業代の支給ルールは明確か、といったところです。
入職前は園の雰囲気を、入職後は労働環境などの管理スタンスを見ていらっしゃるのだと心得ましょう。そのためには、働き方をしっかりと可視化し、透明性のある職場作りが大切です。
その「可視化」の一つの方法として、まずは保育施設の基本的な働き方ー変形動労時間制ーについての理解を深めていただくことが重要かと思います。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、今年度から企業主導型保育施設に労務監査が実施されており、先般その結果が公開されました。
参考情報:企業主導型保育事業における専門的労務監査の状況について/公益財団法人自動育成協会
実際に監査の指摘があった項目を見ますと、
「一ヶ月単位の変形労働時間制を導入しているがシフト表が1か月の総枠を超えている(22.2%)」という内容がございます。
1カ月単位の変形労働時間制を導入している施設様は多いかと思いますが、
採用力強化のためにも監査対応のためにもしっかりと内容を理解した上での各種整備をすることが重要です。
1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内となるように、労働日および労働時間ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり特定の週に40時間を超えたりすることが可能になる制度。
この中でも、保育業界において課題となっていることをご紹介します。
保育現場の実情として、シフトの変更はやむを得ないこともあるかと思いますが、原則シフトとは確定したら変更してはいけないという決まりがあるということは知っておく必要があります。
一人ひとりの従業員に対し、シフトと実績を照らし合わせて管理することは大変ではないでしょうか。
変形労働時間制がゆえに、知らず知らずのうちに、労働時間の平均がオーバーしてしまうことはありませんでしょうか。
さきほど、変形労働時間制について発生しうる課題についてご紹介しました。特に、3 残業時間については要注意です。
仮に、9時から勤務をした場合には、どこからが「法定時間外」残業になるのでしょうか。
こちらの場合、割増賃金を支払わなければならないのは18時以降です。17〜18時のあいだではないということ、ぜひ抑えていただきたいポイントです。
次に、「一日8時間勤務×週5日勤務」の場合をご紹介します。
この場合は、週40時間内の勤務であれば割増賃金を支払う必要はありません。
「原則一日7時間×週6日勤務(うち一日のみ5時間)」の場合で、5時間勤務の日に追加業務が発生し8時間勤務したとしましょう。この場合、「一日8時間」は超えていないものの「週40時間」を超えてしまった分は時間外労働となり割増賃金が発生します。
同じ設定で「ある一日に2時間早退し、他の日に2時間振り分けた」場合であっても、「一日8時間」を超過した1時間分に関しては時間外労働となります。
以上、事例をご紹介しましたが、変形労働時間制では残業時間の計算が煩雑であることがお分かりかと思います。紙での勤怠管理ではより業務が煩雑になってしまいますので、ICTを導入しご活用いただくことをおすすめしています。
キズナコネクトは、保育業界の複雑な働き方に対応した、勤怠・労務管理システムです。先ほどご紹介をした変形労働時間制、配置基準を考慮したシフトの作成など、考慮・対応すべきことが多くあるのが保育現場の労務管理の特徴ですが、キズナコネクトでは次の機能を活用いただくことによって業務効率化を実現します。
まずご紹介しますのは、とある社会福祉法人(6施設運営、職員約200名)での導入事例です。
導入以前は、「残業管理が曖昧である」「残業をしている実態はあるが申請がほぼない」「働き方改革が叫ばれている中で、運用を見直したい」といった課題・ご要望がありました。
当初の運用では、出勤簿に手書きでシフトの時間を書き、はんこを押して提出していました。また、残業については指示があった場合のみに実施・申請をしていて、各種申請も出勤簿同様に「紙」ベース。月末には、出勤簿・シフト・残業、休暇申請の3つの書類を照らし合わせて、200名分を目視で計算されていました。
このような状況で、「出勤簿に記入されているのはほぼシフトの時間と同じであるものの、実態としては残業が発生している」といったことが起きていたそうです。
運用を見直した結果、まず出勤簿を廃止してICカードでの時間記録に切り替えていただきました。それと同時に残業をシステム上で申請し、集計もシステム上で行えるようにしたため、漏らすこと無く残業の実態を把握いただけるように。申請のルールが統一されることによって、残業に対する職員の意識が変わり、「どうすれば残業を減らせるか」について法人内で検討が進み、よりクリーンな働き方を推進することができました。
加えて、毎年十数名いた退職者が数名に減ったという嬉しいお声もいただいております。
次にご紹介する事例は、とある株式会社(3施設運営/職員約26名)です。
こちらでは、すでに勤怠システムを導入していたものの、休憩時間・残業の管理ができずタイムカード管理に戻すことに。その結果、毎月末のシフトとの照らし合わせ確認作業がかなりの負担になっていたそうです。
もともとの運用では、園長先生が毎月末にシフトを作成し、勤怠管理はタイムカードで行っていました。残業・休暇申請などの申請書は都度紙で提出し、集計作業は「シフト」「出勤簿」「残業・休暇申請書」を照らし合わせ、また現場への確認作業も発生。
給与計算・管理簿作成は本部事務の方が担当し、また給与計算ソフトに打ち直しをするという手間がかかっていたと伺っています。
運用見直しをし、システム内でのシフト作成・残業や休暇の申請、ICカードでの出退勤、園長先生のPCで内容の承認・確認ができるように。
その結果として、以前は3日間かかっていた集計作業時間を1時間になり、大幅に業務効率が改善されました。
また、システム導入するタイミングで、労働基準法に沿った管理を今一度見直され、職場環境の整備も推進。クラウドで管理ができますので、労務監査に必要な労務データを地源管理することも実現できました。
さらに、集計作業が負担になっていた園長先生の時間に余裕ができ、職員とのコミュニケーションに当てられる時間が増えたとも伺っています。
保育業界の働き方については、こちらのような課題があるかと思います。
残業が多い、変形労働制対応の問題以前に、「そもそもできていない」という状況もあるのではないでしょうか。
そして、この結果として「長時間労働(残業が多い、休めない)」や「有給休暇が取れない」、
「人手不足・休み辛い」、「退職が発生する・採用できない」といったことが起きています。
私も保育士さんの求人を拝見しましたが、残業時間などの労働条件を全面に押し出したものが多く、採用難を実感しました。
労務監査によって、有給管理簿を整備していないことが発覚し公表されてしまったり、処遇改善費・助成金にあたっての書類に不備があり差し戻し・やり直しが何回も起きてしまったりと、「本来やる必要がない仕事」が発生してしまいます。
そして、働くルールや環境が整備されていないことは働く側にとっては多大なストレスです。
そんな環境で子育てをしながら働いたり、復帰しようと思う方がどれだけいらっしゃるのでしょうか。
ここから、離職率の悪化や採用難に繋がっていってしまいます。
また、根本的には、「働き方・環境が整備されておらず、目指すべき姿も、現在の状況も正しく把握できていない。
努力をしていても成果につながりにくい現状である。」といった課題があるかと見ています。
そうは言いましても、保育業界は慢性的な人手不足で保育士さんも管理者の方もとにかく忙しく、改善策に手が回らない状況にもあります。
・有給休暇をあと何日消化する必要があるか。きちんと有給休暇を付与しているか。取得できるよう促す。
・残業をチェックするだけではなく、業務分散(IT化、アウトソース)をしたり、原因を明確にする。
・シフト、配置人数を管理する。
・そもそも「紙」を廃止する。
つまり、「いま誰がどれくらい働いていて、どのくらいの負荷がかかってて、次点の先生とどれくらいの差があるか」を明確にするということです。
よくお客様にお話していることですが、ICTツールは「何でもできる」魔法ではありません。
導入の前に、業務の見える化・属人化を解消し、次に業務の標準化を行います。
その上で、ICTを活用することによって、真価を発揮することができると考えています。
また、改善→効率化→運用のサイクルを回し続けていくことも重要です。
改善ステップでは、できてないところを直す、治療に近い感覚を持っていただきたいです。
データの抜け漏れや不足、今後増えるデータをしっかり追いかけていく仕組み、新しいあり方を構築し、業務を再定義・再構築しましょう。
効率化ステップにおいては、紙からデジタルに置き換えることは必須です。
用紙代、紛失リスク、検索時間、場所(=保管期限、家賃)、同期が必須のコミュニケーションなども削減することができ、業務効率化以外の効果も期待できます。
そして、何よりも重要なことは「働くひと」「関わるひと」のために投資をするべきだというご認識を持っていただくことです。言わずもがなですが、保育業界で最も重要な要素は「ひと」です。働く環境を整え、気持ちよくいきいきと働くことで、お子さんへの保育の質や園の採用力なども向上していくことと思います。