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現物給与(住宅、食事)の考え方と、各サービス計上方法

本記事では、「現物給与」の基本的な考え方と各給与計算クラウドシステムで計上する方法をご紹介します。

 

「現物給与」とは

給与計算業務に付随する形で、「現物給与」と呼ばれるものがあります。

実際に通貨として支払われる「現金」ではなく、「現物(モノ)」として経済的利益を受けるため、現物給与と呼ばれています。

 

所得税に影響するもの、社会保険の標準報酬月額の算定に影響するものとありますが、
この記事では後者の社会保険の標準報酬月額の算定に影響するものをご紹介します。

 

※給与を現物にて支払う場合には、労働協約が必要となりますのでお近くの社会保険労務士の方へご相談ください。

【社会保険労務士をお探しなら、社労士ステーションへ https://sr-station.com/

 

 住宅と食事

 

現物給与の実務自体については、毎年4月1日に、価額とともに更新されているサイトがありますので、こちらを参照してください。

参考:日本年金機構 全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)

 

食事🍽

 

現物の食事、なじみのある言葉に言い換えると「まかない」などがあたります。飲食店でアルバイト後に、まかないをいただいた経験のある方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

 

たとえば、東京都で夕食としてまかないを一食いただくと、310円相当の利益を得た、と判断されます(令和4年現在)。

この金額を月間で集計して、社会保険の標準報酬額を計算する際に、現金支給分に加える必要があります。

 

現金による給与支給額が、30万円

その月の夕食回数が20回(東京都) の場合、

 

 300,000円 + (310円×20回) = 306,200円 となります。

 

給与計算時の支給額としては、300,000円を支給額として計算をすれば良いのですが、社会保険の標準報酬月額の算定時には、306,200円 を利用して算定する必要があります。

 

仮に、社会保険取得時の算定であれば、

 

 現物なしの場合だと、300(千円)の等級

 現物ありの場合も、300(千円)の等級

 

となります。今回は偶然、範囲内に収まっていましたが、実際には異なる場合がありますのでしっかりチェックしましょう!

 

では、これらはそれぞれのクラウド給与ソフトで設定することはできるのでしょうか。

 

マネーフォワード給与

 

現物として支給する場合には、「基本設定」>「支給項目設定」のうち「詳細設定」から「現物」にチェックをいれます。
「現物」にチェックをすると、現金支給額や振込支給額からは除かれます。

また、結果としては標準報酬月額の決定に使用する算定基礎届の作成時などに、現物の報酬として集計されるようになります。

ジョブカン給与

 

現物で支給される項目の場合は、「現物支給」を選択してください。

「現物支給」にすると、給与や賞与の振込用データ作成時の金額からは対象外となります。

 

freee人事労務

 

現時点では現物給与を、毎月の給与計算に計上する機能がありません。

今後のアップデートに期待しましょう。

 

住宅🏘

 

こちらは、いわゆる「社宅」を従業員に提供するケースを想定しています。

たとえば東京都内であれば、一畳あたり2,830円(令和4年現在)と決まっているため、仮に8畳だとすると22,640円(2,830円×8畳)となります。
この金額を、先ほどの食事と同様に標準報酬月額に計上する必要があります。

 

現金による給与支給額が、30万円

居住部分が8畳(東京都)    の場合、

 

300,000円 + 22,640円(2,830円×8畳) = 322,640円 となります。

 

各クラウドシステムでの設定方法は、上記と同様です。

 

また、

 現物なしの場合だと、300(千円)の等級

 現物ありの場合だと、320(千円)の等級

 

となり、算定する標準報酬月額が異なりますので注意が必要です。

 

なお、現物給与は食事、住宅、いずれの場合でも従業員が規定の額を負担していれば、標準報酬月額の計算時に算入する必要はありません。

 

上記の例では、

 

食事だと、

一食310円につき3分の2は、206.6666円となるので、207円以上、つまり月次給与で、4,140円以上を食費負担額として控除していれば、現物給与に加算する必要はありません。

 

住宅だと、

22,640円以上の額を負担していれば良いことになります。

 

このようにルールに応じての本人負担があれば、現物給与に算入する必要はありませんので設定は不要です。ただし、運用する際には毎年の価額の見直しを忘れないようにしましょう。

 

※本記事の内容は、公開当時の最新の情報に基づいています。実際に業務を行うにあたっては、各自で改めてお調べいただくことをおすすめします。

また、社会保険にフォーカスした内容ですので、所得税の現物課税については、税理士の方にご確認ください。

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