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【第45回】労務トラブルを未然に防ぐ!最新クラウド勤怠管理システムの導入方法と運用ポイント

毎週水曜日に掲載している社会保険労務士による解説記事、今回は成澤紀美先生(社会保険労務士法人スマイング 代表社員)による解説です。

近年、クラウドの給与計算システムがトレンドです。初期費用を抑え、場所を選ばずにアクセスできるなどの多くのメリットがあります。

そんなクラウド給与計算システムを導入する際、どんなことに留意する必要があるのでしょうか。

目次

はじめに

クラウド勤怠システム導入のメリット

勤怠管理システムの失敗しない選び方

今主流のクラウド勤怠管理システム7選

まとめ

はじめに

労務トラブルの未然防止には、正確かつ透明性のある勤怠管理が欠かせません。労働時間の適切な管理は、企業のコンプライアンス維持や従業員のモチベーション向上にもつながります。

従来の紙やエクセルでの管理から、現在はクラウド勤怠管理システムの導入が進んでおり、業務効率の向上とデータの一元管理が大きな利点として評価されています。

本記事では、クラウド勤怠管理システムの導入方法と運用ポイントを詳しく解説し、今主流のクラウド勤怠システム7選の特徴とそのメリット・デメリットを紹介します。

クラウド勤怠管理システム導入のメリット

クラウド勤怠管理システムの導入には、従来の手作業やオンプレミス型システムに比べて、企業の効率化やコスト削減、コンプライアンス強化に役立つ多くのメリットがあります。

効率的な勤怠管理と業務の省力化

クラウド型勤怠管理システムは、打刻や勤怠データの集計を自動化し、手作業による集計ミスを減らすことができ、勤怠データの集計にかかる時間を大幅に短縮し、管理者の業務を効率化します。

具体的には、残業時間、休暇取得日数、出勤日数などのデータを自動で集計でき、手作業による計算ミスや入力ミスが防止されます。

また、リアルタイムで勤怠情報が反映され、管理者は常に最新の勤怠状況を把握できるため、適切な人員管理が可能です。

リモートワークや柔軟な勤務形態への対応

クラウド型のシステムは、インターネットを通じてどこからでもアクセス可能で、リモートワークやフレックスタイム制など、多様な勤務形態に対応できます。従業員が自宅や外出先からも簡単に打刻や休暇申請が行えます。

PC、スマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスで利用でき、従業員の利便性が向上します。またGPS打刻やモバイル打刻、QRコード打刻など、柔軟な打刻方法が提供され、オフィス外での勤務が増えても勤怠管理が正確に行えます。

コンプライアンス強化と労務リスクの軽減

クラウド勤怠管理システムは、労働基準法や労働時間管理の法令改正に対応したアップデートが行われるため、法令遵守がしやすくなります。また、残業時間が規定を超えた場合のアラートや、休暇取得率の確認機能など、労務リスクを軽減するためのサポート機能も備えています。

またデータ改ざんの防止機能があり、信頼性の高い勤怠記録が保持されます。これにより、将来のトラブルや監査対応がスムーズに行えます。

データの一元管理とアクセス性

クラウドで勤怠データを一元管理することで、場所を問わずリアルタイムに情報へアクセス可能です。特にリモートワークの導入が増えている中で、クラウド型は最適な選択肢といえます。

ペーパーレス化とコスト削減

クラウド勤怠システムを導入すると、紙のタイムカードや出勤簿、エクセルでの手動入力が不要になるため、ペーパーレス化が進みオフィスのスペースも有効に活用できます。これにより、印刷コストや保管スペースの削減が可能です。

またペーパーレス化により、廃棄物削減や環境負荷の低減にも貢献でき、企業の社会的責任(CSR)にも役立ちます。

他のシステムとの連携による業務効率化

クラウド勤怠システムは、給与計算システムや人事管理システムと連携できることが多く、業務の一元化や効率化が図れます。

給与計算や労務管理に必要なデータをシームレスに連携することで、人的ミスが減り、時間を節約できます。

特に、勤怠データが直接給与計算システムに連携されることで、計算ミスが減少し、給与計算の時間が短縮されます。

また人事データと紐付けて、勤怠・給与・労務データを一元管理することで、労務管理の効率化が期待できます。

柔軟な拡張性で企業成長に対応

クラウド型システムは、企業規模や従業員数の増減に合わせて、プランや機能を簡単に拡張・縮小でき、変化に対応しやすくなっています。つまり企業の成長に合わせて機能やユーザー数を柔軟に拡張できるため、中長期的に使い続けられます。

また企業のニーズに応じた追加機能やカスタマイズが可能なシステムもあり、自社の運用に合わせた勤怠管理が実現できます。

勤怠管理システムの失敗しない選び方

勤怠管理システムの導入を成功させるためには、自社の業務形態やニーズに合ったシステムを慎重に選定しなければいけません。特に、自社のニーズに合った機能、操作性、法令対応、他システムとの連携、セキュリティ、コストを総合的に評価することが重要です。

導入後のスムーズな運用を確保するためにも、デモや無料トライアル期間を活用し、実際の使い勝手を確認してから選定すると失敗を防ぐことができます。

自社のニーズと課題に合っているか?

まず、自社の勤怠管理における現状の課題やニーズを洗い出しましょう。

  • 勤怠管理の範囲:単純な打刻管理か、シフトや休暇管理、残業計算も必要か
  • 勤務形態:リモートワークやフレックスタイムが導入されているか
  • 従業員数:中小企業向けのシンプルなものか、大規模向けの多機能なシステムが必要か

明確な課題を把握することで、必要な機能をリストアップし、不要な機能にコストをかけずに済みます。

操作性と従業員の使いやすさ

勤怠管理システムは、従業員が日々使用するものです。複雑すぎるシステムでは、従業員の負担が増えるだけでなく、入力ミスや入力漏れが増加する可能性があります。

操作が簡単で直感的に使えるシステムを選ぶことで、導入時の教育コストも削減できます。

  • モバイル対応:従業員がスマートフォンからも簡単に操作できると便利です。
  • インターフェースのシンプルさ:システムのデモを見て、画面の見やすさや操作のしやすさを確認しましょう。

法令対応がしっかりしているか

勤怠管理システムは、法令や労働基準に適合している必要があります。システムによっては法令改正に合わせてアップデートされるものもあり、これによりコンプライアンスを維持しやすくなります。

  • 自動更新機能:法令改正に応じてシステムが自動でアップデートされるかを確認。
  • 勤怠データの保存期間:労働基準法で定められたデータの保存期間に対応しているかも 重要です。

他のシステムとの連携が容易か

勤怠管理システムは給与計算や人事管理システムと連携するケースが多く、他システムとのデータ連携がスムーズかどうかも選定のポイントです。

連携がスムーズだと、データ入力の重複を防ぎ、業務効率が向上します。

  • API連携の有無:APIを通じて他システムとデータ連携できるか確認。
  • 既存システムとの相性:自社で使っている給与ソフトや人事システムとの互換性があるかを確認。

セキュリティとデータ保護対策は万全か

勤怠データは個人情報を含むこともあるため、セキュリティ対策が万全なシステムを選ぶことがポイントです。

特にクラウド型の場合、以下のポイントに留意しましょう。

  • アクセス権限管理:必要な従業員のみがデータにアクセスできるよう、権限設定ができるか。
  • データ暗号化:通信およびデータ保存時の暗号化が施されているか。
  • バックアップ体制:データが消失した場合のバックアップ体制が整っているか。

サポート体制とコストのバランスはどうか

システムの導入や運用には、導入後のサポートが重要です。

特に、初めてクラウド型勤怠管理システムを導入する場合は、システム会社のサポートが充実していると安心です。また、コストも重要な要素の一つです。

  • 導入費用と月額料金:勤怠管理システム・ソフトの料金は1人あたり100〜600円です。機能の充実度によって料金が変わりますので、勤怠管理システムの導入に使える予算を確認しておきます。システムのコスト構成を把握し、長期的なコストパフォーマンスを考えましょう。
  • サポート体制:問い合わせに対応するサポートが充実しているか。FAQやオンラインマニュアルが充実していると自己解決も可能です。

今主流のクラウド勤怠管理システム7選

ここでは、現在主流となっているクラウド勤怠管理システムの特徴、メリット・デメリットを紹介します。

※機能比較チャート図は、Saas情報メディアBOXILより引用

HRMOS勤怠/株式会社ビズリーチ

グラフ, レーダー チャート

自動的に生成された説明

特徴:多様な打刻方法とシンプルな操作性で、低コストで導入できるクラウド勤怠管理システム。

メリット:リモート対応が充実し、少人数の企業でも無料で使えるなど、コストパフォーマンスが高い

デメリット:カスタマイズ性が低く、無料プランでのサポート体制が限定的。

料金感:31名以上、月額100円/名

ジンジャー勤怠/jinjer株式会社

グラフ, レーダー チャート

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特徴:豊富な機能を備えたオールインワン型勤怠管理システムで、シフト管理や人事労務機能も含まれる。

メリット:幅広い業務に対応し、他の人事管理システムとの連携も容易で大規模運用にも適している。

デメリット:機能が多岐にわたるため、導入や運用において操作性の習得が必要で、小規模な組織にはやや過剰と感じる場合がある。

料金感:月額300円〜/名

KING OF TIME/株式会社ヒューマンテクノロジーズ

グラフ, レーダー チャート

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特徴:勤怠データのリアルタイム分析機能があり、大企業でも対応可能。

メリット:豊富なAPI連携で他システムとの連携が容易。

デメリット:コストが比較的高め。料金感:月額300円〜/名

freee 勤怠管理Plus/フリー株式会社

グラフ, レーダー チャート

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特徴:クラウド会計ソフトと連携可能で、特にスタートアップや中小企業に向けて最適化。

メリット:直感的なUIで、会計や給与システムとの連携がスムーズ。

デメリット:勤怠管理のみの機能は限定的。料金感:月額300円〜/名

マネーフォワード クラウド勤怠/株式会社マネーフォワード

グラフ, レーダー チャート

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特徴:多様な雇用形態に対応し、他のマネーフォワード製品との連携が可能なクラウド型勤怠管理システム

メリット:シフト制やフレックスタイム制など多様な勤務形態に対応し、リアルタイムでの勤怠状況把握やアラート機能により労務管理を効率化できる。

料金感:月額3,980円 + 300円/名

ジョブカン勤怠管理/株式会社DONUTS

グラフ, レーダー チャート

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特徴:豊富な機能が特徴で、打刻からシフト管理まで対応。アプリでの操作も可能。

メリット:低コストで中小企業にも導入しやすい。

デメリット:多機能ゆえに、使いこなすまでの時間がかかる場合も。

料金感:月額200円〜500円/名

AKASHI/ソニービズネットワークス株式会社

グラフ, レーダー チャート

自動的に生成された説明

特徴:使いやすいインターフェースと、シンプルな勤怠管理機能が魅力。

メリット:簡単かつ直感的な操作で使いやすい。

デメリット:機能が限られており、拡張性が低い。

料金感:月額200円〜400円/名

まとめ

クラウド勤怠管理システムは、労務トラブルを未然に防ぐための有効なツールです。導入前には自社のニーズに合ったシステムを選び、運用開始後も従業員へのサポートやデータ保護に気を配ることで、スムーズな活用が可能になります。

最近は労働行政も、客観的な労働時間の管理を求めている点からも、クラウド勤怠管理システムでの労働時間管理は、今後は当然のものとされてくるでしょう。

今回ご紹介した7つのシステムの特徴やメリット・デメリットも参考にして頂き、最適なシステムを選び、労務管理の強化に取り組みましょう。

まずはお気軽にご相談してみませんか

執筆者プロフィール

成澤先生

成澤 紀美
特定社会保険労務士(東京都社会保険労務士会所属)
社会保険労務士法人スマイング 代表社員
株式会社スマイング 取締役
クラウドBPO株式会社 代表取締役

大手システムインテグレーション企業・外資系物流企業・住宅建設不動産企業でシステムエンジニアとして長年にわたり技術開発・システム設計を担当。人事管理システム構築を行った事がきっかけで人事・労務に興味をもち、人事労務コンサルティングを行う。

IT業界に特化した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。企業の視点に立った労務管理セミナーや研修を行っている。

「IT業界 人事労務の教科書」「自社に最適な制度が見つかる 新しい労働時間管理 導入と運用の実務」「労務管理の実務が丸ごとわかる本」「改定版)IT業界 人事労務の教科書」「エンジニアが働き方で困ったときに読む本」、近著は「ポストコロナの就業規則見直し」を出版。

社会保険労務士法人としては、IPO(株式公開)向け労務デューデリや人事労務対策支援にも注力し、監査法人や証券会社と企業間のコーディネーターの役割も担っている。

顧問先企業の約8割がIT関連企業。

2018年よりクラウドサービスを活用した人事労務サービスで業務効率化を図ったり、 クラウドサービス導入時の困ったを解決する「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」サービスを展開。2018年10月のマネーフォワード社主催のMFクラウドExpoで「クラウドサービスアワード2018大賞」を受賞。

2021年10月より給与計算などBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)に特化した「クラウドBPO株式会社」を共同設立し、企業ニーズへの対応を進めている。

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