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【第40回】そのまま使える!安全衛生委員会のテーマ

【第36回】ハラスメント研修のプラグラムの作り方

毎週水曜日に掲載の社会保険労務士による解説記事、第40回は三谷先生(三谷社会保険労務士事務所 代表)による解説です。

安全衛生委員会のテーマは企業ごとにそれぞれですが、毎月開催するためテーマに悩む担当者様も多いのではないでしょうか。

本記事では、そのままお使いいただける安全衛生委員会のテーマについてご紹介いたします。

目次

毎月開催するものの「ネタ」がない

安全衛生委員会の調査審議事項

安全衛生委員会のテーマの例

安全衛生委員会の運営のポイント

毎月開催するものの「ネタ」がない

安全衛生委員会の課題

労働安全衛生法に基づき、一定の基準に該当する会社は、安全委員会や衛生委員会(これらを合わせた安全衛生委員会)を設置しなければなりません。

労災防止や職場衛生などの取り組みは、会社だけでなく労働者も協力して行っていく必要があるためです。そのため、各会議の構成メンバーの半数は、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならないことになっています。

また、いずれの会議も毎月1回以上開催することが義務付けられています。そのため、「マンネリ化している」、「報告だけの会議(時間の無駄)」、「ネタがない」などの声が、労務担当者から寄せられることも多くあります。

以下、安全衛生委員会におけるテーマ(ネタ)について解説します。

安全衛生委員会の調査審議事項

安全衛生委員会の調査審議事項

法令によると、安全衛生委員会では、主に次の事項について調査審議することとされています。

  • 安全や衛生に関する規程の作成について
  • リスクアセスメントについて
  • 安全や衛生に関する取り組みのPDCAについて
  • 安全衛生教育について
  • 定期健康診断等について
  • 過重労働対策について
  • メンタルヘルス対策について

    そこで、これらをテーマに含めることが必須となります。

    ある労働基準監督署のパンフレットによると、安全衛生委員会等での不備事項として、「法令で定める調査審議事項等を調査審議していない(特にリスクアセスメント、過重労働対策、メンタルヘルス対策が審議されていない)」(参照:足立労働基準監督署『安全衛生委員会等を適正に運営していますか』)が挙げられています。

    安全衛生委員会のテーマの例

    上記を踏まえ、安全衛生委員会で取り上げるとよいテーマを示します。

    安全衛生委員会のテーマ

    (1)安全関係

    新入社員サポート

    新入社員が安全安心に職場生活をスタートできるように、安全教育などを実施する際のサポート等を検討します。

    BCP(事業継続計画)の作成・見直し

      BCPを新たに作成、あるいは既存のBCPの見直しを行い、経営層に提言します。委員で事業場周辺のハザードマップを確認することも有意義でしょう。

      リスクアセスメント

        リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積り、優先度の設定、リスク低減措置の決定の一連の手順のこと。職場のヒヤリハット事例を集め、危険度に応じた対策の優先度をつけることもリスクアセスメントです。年に1回はリスクアセスメントの進捗確認や理解を深めるための講習を行ってみましょう。委員のみなさんで職場を巡回することも、違う目線でチェックできますので非常によいと思います。

        交通安全

          毎年春と秋には全国交通安全週間があります。時節に合わせて行うとよいでしょう。通勤災害の事例も共有するなども考えられます。

          労災事例

            自社や同業界あるいは異なる業界の労災事例を題材にして、そこから得られる教訓などを委員で話し合います。

            (2)衛生関係

            健康管理の基本

            企業に安全配慮義務があるように、労働者には自己保健義務があります。このような働く上での健康管理の基本を取り上げるのもよいでしょう。

            食事・運動・睡眠

              これらは健康増進のための3大要素です。そのため、産業医や管理栄養士などの専門家による講話の回を設ける、ウォーキング大会等職場の皆さんが楽しめるイベントを行うのもよいでしょう。

              熱中症対策

                夏場が近づく頃には熱中症対策を取り上げます。

                過重労働対策

                  長時間労働者の把握や産業医による面接指導など、過重労働対策全般について取り上げます。

                  メンタルヘルス対策

                    メンタル不調者の把握やセルフケアやラインケア、ストレスチェックといったメンタルヘルス対策の基本的なことを確認します。また、各委員から実践しているセルフケアを発表してもらう時間を設けるのもよいでしょう。

                    メンタルヘルスや疾病というのは機微な個人情報でもあります。情報の取扱いには細心の注意を払いましょう。

                      定期健康診断結果の見方

                      毎年1回定期に行う定期健康診断。その結果が届く時節に行います。結果表の見方が理解できると、健康に興味関心を持つ方も増えるのではないでしょうか。

                      感染症対策

                        インフルエンザやコロナ等の感染症対策を取り上げます。

                        仕事と治療の両立支援

                          疾病を抱え治療を続けながら仕事をしている方もいます。両立支援について委員会で学んだり事例を共有したりします。

                          リモートワークと健康

                            リモートワーク特有の健康上の悩みなどを共有します。

                            (3)その他

                            このほかにも、時事ネタをテーマに取り上げる(たとえば、「読書離れが進んでいるという時事ネタ」→「読書と健康というテーマ」)、社内アンケートで従業員の関心あるテーマを取り上げる等が考えられます。

                            以上のテーマを参考に年間スケジュールに落とし込んだ例がこちらです。

                              安全衛生委員会のテーマの例

                              安全衛生委員会の運営のポイント

                              (1)産業医を巻き込む

                              産業医は委員会の構成メンバーの一員です。毎回会議に参加してもらうことは難しいかもしれませんが、産業医の意見を聴いて会議で報告する、産業医に講和をお願いする等、できるだけ巻き込むようにしましょう。

                              (2)メンバーを固定しない

                              テーマとも関係するのですが、毎年同じメンバーでは会議もマンネリ化しがちです。

                              おすすめは、2年に1回ごとに会議のメンバーを入れ替えることです。1年だと、ようやく年間の進め方が分かった時には任期切れ、となるためです。一気に入れ替えると不安な場合には、半数ごと入れ替えるのもよいでしょう。メンバーが変わると、興味や関心も異なり、取り上げたいテーマも変わってくるものです。

                              (3)会議時間は短めに

                              労働安全衛生委員会は、社内の様々な部署からのメンバーで構成されることが多いため、会議日程の調整もさることながら、会議時間が長すぎると出席率も減ってしまいます。安全・衛生といった職場の皆さんが働く上で基本となる事柄について労使が話し合う大切な場です。そのため、出席しやすい環境を作ることも重要です。

                              まずはお気軽にご相談してみませんか

                              執筆プロフィール

                              三谷先生

                              三谷 文夫 (みたに ふみお)
                              社会保険労務士/産業カウンセラー
                              三谷社会保険労務士事務所 代表

                              中小企業の就業規則・人事制度構築を得意とする社会保険労務士
                              保有資格:アンガーマネジメントファシリテーター 


                              1977年大阪府生まれ。兵庫県在住。
                              慶應義塾大学卒業後、地元兵庫県の有馬温泉旅館でフロントスタッフとして働くも1年で退職し、大学時代から挑戦していた司法試験に再挑戦。25歳頃までアルバイトをしながら試験合格を目指すも断念。その後は転職を繰り返し、営業、販売、事務、接客に携わる。合間に東欧への放浪の旅をしながら気ままに過ごすも、将来に不安を感じてきたところで28歳の時に製造業の総務課に採用していただく。
                              総務課では社会保険、給与計算などの事務を始め、採用、評価、従業員満足度向上施策、労働組合や地域住民との渉外交渉、労務費の予算作成・実績管理など、幅広い業務に従事。
                              「従業員が相談しやすい総務スタッフ」を意識して職務に取り組む。また、工場での勤務ということもあって、労働安全衛生の重要性を実感するとともに、労務管理では現場のスタッフとの関係性が大切であることを学ぶ。在職中に社会保険労務士の資格を取得。
                              2013年、「多くの中小企業経営者に労務管理の大切さを伝えたい」という想いが募り、社会保険労務士事務所を開業し独立。労務に留まらない経営者の話し相手になることを重視したコンサルティングは、優しい語り口調も相まって人気がある。また、自身の総務課経験を活かしたアドバイスで顧客総務スタッフからの信頼も厚く、これまでに関与してきた顧客数は60社以上。
                              労務相談をメインに、クライアント企業にマッチした就業規則の作成、運用のサポートまで行う人事評価制度の構築が得意。その他、メンタルヘルス、承認力、ハラスメント、怒りの感情との付き合い方、健康経営、SDGs等をテーマに、商工会議所、商工会、自治体、PTAその他多数講演。新入社員研修、管理職向け行動力アップ研修等、年間20回以上登壇する企業研修講師でもある。
                              2020年から関西某私大の非常勤講師。300名の学生に労働法の講義で教鞭をとる。
                              趣味は喫茶店でコーヒーを飲みながらミステリ小説を読むこと。ランニング。
                              家族は、妻と子ども4人、金魚のきんちゃん。

                              三谷社会保険労務士事務所

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